顔や外部から見える場所に、大きな傷がのこった場合も、後遺障害の一つとして考えることができます。
顔に傷が残った場合、例えば、芸能人にはなりにくいですよね。
レストランのウエイトレスであっても、採用に考慮される可能性は否定できません。
事実上顔の傷が考慮されると言わざるを得ない職業は、あります。
では、労働能力が一部喪失したと、評価できるのでしょうか。
これは非常に難しい問題です。
例えば、私たちは弁護士です。
弁護士の仕事も多少は接客業の要素はありますが、それでも顔の傷はあまり影響はないと思います。
仕事の内容によっては、まったく影響のないものもあります。
事実上の影響があっても、算定することが困難なものもあります。
自賠責実務では、例えば10円玉以上の瘢痕が顔に残った場合などには、女性なら12級、男性なら14級の後遺障害が認定されるといわれています。
首なら、卵ぐらいの大きさが必要となり、かつ、髪に隠れる部分は該当しないとされています。
しかし、自賠責で認定されるからと言って、労働能力の喪失が認められるというわけでもありません。
裁判例も様々です
例えば、大阪地裁平成8年12月12日は、
「被害者(7歳・女)の醜状障害に付き、被害者の身体的機能に障害をもたらすものではなく、物理的に労働能力喪失をもたらすものではない」
としています。
しかし、広島高裁岡山支判平成10年3月26日は、
スチュワーデス専門学校生の顔面醜状について、実際にスチュワーデスに採用されなかったという経緯もふまえて、一定程度労働能力の喪失を認めました。
裁判では、今の職業や将来付くことが確実な職業に、どのような不利益が生じるのかを、具体的に立証していくことになるのだと思います。
労働能力の喪失を否定する裁判例も多い現状では、弁護士としては、容易に明るい見通しを述べることには躊躇します。
しかし、労働能力の喪失を否定する裁判例も、慰謝料の増額事由にはなると考えています。
訴訟を提起し争う価値はある類型といえます。
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