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労働問題
Question

Q:私は,A社でパートとして働いています。子どもの運動会を応援にいくために有給休暇を取得したいと思っているのですが,可能でしょうか?

Answer

A:パートタイム労働者でも,一定の要件の下に有給休暇を取得することが労働基準法上認められています。具体的には,有給休暇の項目をご覧ください。


Question

Q:当社ではパートタイム労働者を雇っているのですが,パートタイム労働者でも雇用保険に加入させないといけないのですか?

Answer

A:パートタイム労働者であっても,週20時間以上働くことが予定されていて,6ヶ月以上引き続き雇用されると見込まれる者は,雇用保険に加入義務があります。


Question

Q:当社ではパートタイム労働者を雇っているのですが,パートタイム労働者でも健康保険・厚生年金保険に加入させる義務がありますか?

Answer

A:パートタイム労働者であっても,常用的雇用関係にある者で,1日または1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が通常の就労者のおおむね4分の3以上であれば,健康保険・厚生年金保険に加入させる義務があります。


Question

Q:私はA社でパートとして働いていますが,正社員の人と同じ仕事をしているのに,正社員の人に比べて安い給料しかもらえません。これって仕方ないんですか?

Answer

A:「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」は,パートタイム労働者であっても,①通常の労働者と仕事内容が同じで,②契約上または実態上期間の定めのない雇用にあり,③人材活用の仕組みと運用が長期的に通常の労働者と同じであるパートタイム労働者について,短時間労働者であることを理由とする賃金差別をしてはならないと定めています。本件はこの法律の禁じる賃金差別に該当する可能性があり,正社員の給料との差額分を損害賠償として請求することが考えられます*1


Question

Q:中学生をバイトとして雇うことはできますか?

Answer

A:原則として、中学生を労働者として雇うことは許されません。ただし、一定の職種において、児童にとって害のない簡単な労働である場合には、行政官庁の許可を受けて使用することはできます。


Question

Q:未成年者をバイトとして雇う際に気をつけなければならないことはありますか?

Answer

A:高校生以上の未成年者であっても、親の同意がなければ雇うことはできません。また、法定時間外労働や深夜労働をさせることはできません。


Question

Q:産休期間はいつからいつまでですか?

Answer

A:産前は6週間、産後は8週間の産休期間が法律で認められています。産前は、本人が望まなければ休暇を与える必要はありませんが、産後は、働かせること自体禁止されています。


Question

Q:産休期間のお給料はどうなるのですか?

Answer

A:就業規則に有給の定めがない限りは、無給となります。ただし、健康保険から、産前は42日間、産後は56日間、お給料の6割が給付されます。
 また、産前産後の休業期間は、有給休暇取得の要件との関係では、出勤扱いとなります。


Question

Q:産休をとったことで、昇格が遅れてしまいました。会社に昇格を求められますか?

Answer

A:産休をとったことそれ自体を理由として昇格をしないことは許されません。しかし、産休をとったことで、技能の習得に遅れが生じ、昇格が遅れることはやむを得ない措置だといえます。
また、昇格をしないことが違法であるとしても、人事については会社に広い裁量がありますから、昇格を認めさせることは難しい場合が多いです。


Question

Q:育児休暇は誰でも取得できますか?育児休暇の期間はいつまでですか?

Answer

A:育児休暇は、男女を問わず、1歳未満の子を養育するために取得することができます。日雇い労働者は取得できませんが、期間雇用労働者は、一定の条件を満たせば取得することができます。


Question

Q:育休期間の給料や保険はどうなりますか?

Answer

A:就業規則に規定がない限りは、無給となります。ただし、雇用保険から賃金の5割が育児休業給付として支給されます(平成21年4月現在)。また、育休中も保険関係は継続し、保険料の半分を使用者が負担します。


Question

Q:介護休業とは何ですか?

Answer

A:両親や子どもの介護のために、要介護者1人につき通算して93日まで休業できる制度のことです。平成16年の法改正により、介護休業がとりやすくなりました。具体的には、通算して93日であれば、複数回にわたり休みが取れることになりました。
 介護休業中も、育休と同様にお給料の5割が雇用保険から給付されます。


Question

Q:上司から「お前は脳なしだ」などといつも怒鳴られており、毎日仕事をするのが辛くて仕方がないのです。会社に異動を申し出たいのですが、聞いてもらえるでしょうか?

Answer

A:いわゆるパワーハラスメントを放置することは、使用者に課された職場環境配慮義務に違反するといえます。使用者は、上司のパワーハラスメントをやめさせるような措置を取ったり、人事異動したりするなどして、何らかの対策を講じる義務があります。この義務を根拠に、使用者に対応を求めることは可能です。ただし、異動という手段を必ず取れとまでは、要求できません。また、一般に、パワーハラスメントと教育的指導の区別は難しいものとされています。


Question

Q:そもそも労働組合とはどのような組織なのですか?

Answer

A:労働組合とは、
a 労働者が主体となって
b 自主的に
c 労働者の経済的地位向上を図ることを主たる目的として
d 組織する
団体をいいます。
 社長に近い地位のある方は参加せず、また、会社の援助も受けないのが通常です。


Question

Q:会社が、「管理職組合」から団体交渉の申入れを受けました。団体交渉に応じる必要はありますか?

Answer

A:社長に近い地位(会社の利益代表者)が加入している組合は、労組法上の労働組合にはあたりません。但し、管理職だからといって、直ちに利益代表者にあたるわけではありません。役職名で判断されるわけではなく、実質的に見て、会社の利益代表者といえるかが判断されます。例えば「人事部の管理職は利益代表者にあたるが、営業部の管理職ならあたらない」など、会社の規模や態様によって、判断は分かれます。
 また、労組法上の労働組合にあたらないとしても、憲法上は一定の保護を受けます。
 管理職組合からの団体交渉であっても、直ちに断って良いということにはなりません。 ご注意下さい。


Question

Q:会社の援助を少しでも受けると、労組法上の組合として保護されないのですか?

Answer

A:必要最小限の援助なら受けることができます。最小限の広さの事務所を借りる場合など、の援助を受けたとしても、労組法上の保護を受けることができる場合があります。


Question

Q:労働組合はどのような保護を受けるのですか?

Answer

A:例えば、正当な団体交渉ならば、刑法に触れる行為であっても違法性が阻却されることがあります(刑事免責)。また、正当な争議行為なら、民事上の損害賠償の請求も受けません(民事免責)。但し、「正当」といえるかは専門家に判断を仰ぐべきでしょう。
 また、規約が整備され、労働組合法の保護を受ける組合は、労働委員会に救済を求めることができます。
 さらに、近時の労働組合は、労働協約の締結という重要な役割があります。


Question

Q:会社に入社したら、必ず労働組合に入らなければならないのですか?

Answer

A:原則として、加入する義務まではありません。しかし、会社と労働組合との間で、「労働組合に入らない従業員は解雇する」という協定を結ぶことがあります。これをユニオンショップ協定と呼びます。
 事業場の過半数を越える従業員で組織する労働組合は、会社とこのような協定を結ぶことができるのです。
 この場合、組合に加入する必要が生じます。


Question

Q:組合から脱退したら、会社から解雇を言い渡されました。このような解雇が許されるのですか?

Answer

A:ユニオンショップ協定がある場合、会社は従業員を解雇しなければなりません。
 但し、組合から不当な除名処分を受けた場合や、少数組合に加入した場合など、解雇の無効が認められた裁判例も多数あります。
 一度弁護士にご相談下さい。


Question

Q:組合に入らない労働者を採用したいのですが、労働者採用の条件として、「組合に入らないこと」と定めることはできるのでしょうか。

Answer

A:できません。不当労働行為にあたります。


Question

Q:給料から組合費が天引きされているのですが・・・。

Answer

A:会社と過半数労働組合が書面で合意をすれば、組合員の賃金から組合費を控除することができます(これをチェックオフといいます)。
 但し、労働者がそれを望まない旨会社に伝えた場合には、会社は控除を継続することはできません。


Question

Q:組合がストライキをすると言っています。労働者として、加わってよいものでしょうか。また、会社としてはどのように対応すればよいのでしょうか。

Answer

A:現在は、ストライキが行われることもだいぶ少なくなりました。しかし、組合と会社との話合いの場では、ストライキが交渉の材料に使われることが多々あります。伝家の宝刀ですね。現在でも労働法実務では重要なキーワードとなっています。プロ野球選手がストライキを行ったのは、記憶に新しいですね。
ですので、労働者も使用者も、ストライキに関して正確な知識を学ぶ必要があります。
 ストライキは、目的や態様が「正当」な争議行為でなければなりません。
 労働者としては、「正当」なストライキなら、参加すべき場合もあるでしょう。
 会社としても、「正当」なストライキなら、話合いに応じる必要があります。


Question

Q:政治的な要求を通すためにストライキはできるのですか?

Answer

A:会社が努力をしても改善できない事柄の要求を目的としたストライキは、「正当」とはいえないと考えるのが一般的です。
 政治的な目的を持ったストライキは、正当性が否定されやすいものと思われます。


Question

Q:お客さんに買い物に来ないように呼びかけるようなストライキはできるのですか?

Answer

A:ストライキの実効性確保のために、他の労働者や顧客にも呼びかけることがあります(ピケッティングといいます)。
 実力行使を伴う場合、正当性が否定されやすいものといえます。
 言論による平和的な説得に限り、正当なものとされています。


Question

Q:従業員の一部だけがストライキをしていますが、その結果、生産ライン全体が機能しなくなりました。会社として、ストライキをしていない従業員の労務提供を拒むことはできますか?

Answer

A:原則的には、会社側が労務提供を拒むことはできません。
 しかし、労使間の交渉経過、組合の交渉態度、会社が受ける損害の程度等を総合的に考慮し、あまりに会社の不利益が大きく、勢力均衡を保つための対抗手段、防衛手段として相当性が認められる場合には、労務提供を拒否することができます。これをロックアウトといいます。
 ロックアウトをするか否かは、弁護士と相談のうえ判断されることをおすすめします。


Question

Q:現在組合で、「目指せ賃金アップ!」と書いたリボンを付けて就業することを検討しています。このような争議行為を行うことは可能でしょうか。また、会社として、このような行為をやめさせることは可能でしょうか。

Answer

A:労働契約の一内容として、労働者には職務専念義務があります。
 この職務専念義務は、「職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い、職務にのみ従事すべき義務」と考えられています。
 よって、リボンを付けて就業することは、原則として正当性が認められにくいものといえます。


Question

Q:会社側として、労働組合の中心的人物を課長等の管理職へ昇進させる場合に気をつけることは何ですか?また、労働組合はどのような対応を取るべきですか?

Answer

A:組合の中心人物を管理職へ昇進させる場合、客観的に見れば、組合にとって不利な扱いになる場合もあり得ます。
場合によっては、不当労働行為という問題が生じ得ます。
しかし、客観的事情だけではなく、会社側に「不当労働行為をする意思」があって、初めて不当労働行為に該当します。
 具体的には、従前からの労使関係の経緯、労働組合に対する日頃の会社の態度等から、不当労働行為をする意思があるか否かが判断されます。
会社としては、日頃から組合活動に理解を示し、友好的な関係を築いておく必要があります。また、昇進の対象となる本人から同意を得ることも重要です。
組合としては、それが組合弱体化の目的があると考える場合には、会社側と交渉をする必要が生じるでしょう。


Question

Q:労働災害とは何ですか?

Answer

A:労働災害は、「業務起因性」と「業務遂行性」が認められる労働者の負傷、疾病、障害又は死亡のことを指します。労働災害の認定がされると、労災保険の補償の対象となります。


Question

Q:補償の内容はどのようなものですか?

Answer

A:病気になったときの通院費用、休業中の賃金の6割の補償、後遺障害に対する補償、遺族に対する補償などがあります。


Question

Q:使用者が労災保険の保険料を納めていない場合には、補償は受けられないのですか?

Answer

A:使用者が保険料を納めていなくても、保険給付はなされます。


Question

Q:保険の給付は誰に対して請求すればいいですか?

Answer

A:保険給付は、労働基準監督署に対して請求します。労基署の署長の不支給決定に不服がある場合には、労働局内の機関に審査請求を行います。


Question

Q:通勤中の災害は労災保険の補償対象となりますか?

Answer

A:通勤災害は、使用者の管理下にあるとはいえないですが、特別に補償の対象となっています。ただし、通勤経路を逸脱した場合の災害は補償の対象外です。


Question

Q:労働災害が起きたとき、労災保険以外に、使用者に対して損害賠償請求をすることはできないのですか?

Answer

A:労災保険による給付がされた場合でも、これを上回る損害が生じている場合には、その上回った部分について、使用者に対して民法上の損害賠償責任を追及することはできます。
 使用者には、労働者が安全に労働できるように注意すべき義務(安全配慮義務といいます。労働契約法5条)が課されていますので、これに違反した場合には、債務不履行を理由として損害賠償請求ができます。もっとも、安全配慮義務と一言で言っても、具体的にどんな注意をすべきであったかは、各事例によって異なります。そして、注意義務の具体的内容は、請求する側で特定しなければなりません。具体的事案で安全配慮義務違反が問えるかどうかは争いになる場合が多いので、弁護士に相談されることをおすすめします。


Question

Q:人事制度にはどんな種類がありますか?

Answer

A:大きく分けて、(1)役職制度、(2)職能資格制度、(3)職務等級制度があります。(1)役職制度は、組織の中での権限・役割分担を決めたものです。部長、課長などの役職は、この役職制度に基づく分類です。つぎに、(2)職能資格制度は、従業員の職務遂行能力に応じて、従業員を等級づけるシステムのことです。「人」に着目した分類といえます。これに対して、(3)職務等級制度は、具体的な職務内容の価値によって、従業員を等級づけるシステムのことです。「仕事の内容」に着目した分類といえます。


Question

Q:給料と人事制度はどういう関係にありますか?

Answer

A:まず、(1)役職制度の場合、役職手当が基本給に加算されることがあります。(2)職能資格制度では、等級に応じて基本給が決まります。したがって、労働者にとってどの等級に位置づけられるか、は賃金との関係で非常に重要な要素となります。(3)職務等級制度では、各職務に応じて給料が決められます。


Question

Q:人事考課とは何ですか?

Answer

A:従業員の評価のことです。多くの会社ではどのように従業員を評価していくかについて制度化されています。


Question

Q:昇進・昇格とは何ですか?

Answer

A:昇進とは,役職制度において職位が上昇することを言います。昇格とは,職能資格等級が上昇することを言います。


Question

Q:私の勤務先では勤務年数に応じて昇格をしていくのが通常ですが、私だけ昇格をしてもらえません。昇格してもらうように会社に求めることはできますか?

Answer

A:昇格は基本的には使用者の広い裁量に属する事項です。したがって、昇格を求めることは難しいです。もっとも、長年にわたり一定の勤務年数があればほぼ例外なく同じような昇格をしている場合などには、昇格が認められる可能性があります。


Question

Q:降格とは何ですか?

Answer

A:降格という言葉は多義的です。役職制度において職位が下がる場合(昇進の逆)を意味することや,職能資格制度において職能資格等級が下がる場合(昇格の逆)を意味することがあります。また,職務等級制度で職務の変更に伴って職務等級が下がる場合を意味することもあります。


Question

Q:私は、最近、職能資格が引き下げられてしまいました。降格に伴い給料も下がってしまいました。何とかなりませんか?

Answer

A:職能資格の引き下げについては、裁判例は、就業規則上明確な根拠があること、その規定が定める降格理由に該当すること、が必要だとしています。これに該当しない降格は、人事権の濫用として違法とされる可能性があります。
 もっとも、役職の引き下げについては、使用者の広い裁量に属するので、争うことは困難です。


Question

Q:私の会社では職務等級制度を採用していますが、従業員の職務等級を引き下げる場合に給料も下げることは許されますか?

Answer

A:判例の枠組みはまだ固まっていません。職務給が引き下げられることは従業員にとって不利益が大きいですから,それを正当化するだけの合理的理由が必要とされることが多いようです。


Question

Q:配転とは何ですか?

Answer

A:従業員の職務内容や勤務地を変更することをいいます。


Question

Q:会社から突然の転勤を命じられました。私は、幼い子どもと介護が必要な親と同居しており、転勤をすると非常に困ります。転勤の命令に応じなければならないでしょうか?

Answer

A:判例を基準にすれば,基本的には配転命令を拒絶することは難しいです。しかし、この事案のような場合、転勤により介護の負担が著しく増えるようであれば、転勤を拒める可能性があります。


Question

Q:会社から子会社への出向を打診されました。今の仕事を気に入っており、子会社に行きたくないのですが、断ることはできますか?

Answer

A:就業規則などで会社が従業員に出向を命じることができると規定されていて,出向先での基本的な労働条件等が明瞭になっているような場合には,最終的には断ることは難しいと考えられます。


Question

Q:プライベートで遊びに出かけた際に交通事故にあい、大けがを負いました。しばらくは、入院しなければならず会社に出勤できるような状況ではありません。このまま休むと自分は解雇されてしまうのでしょうか?

Answer

A:会社に休職制度があればそれを利用することが考えられます。ただ,その場合であっても,休職期間満了時に未だ職務に復帰できないような状況であれば解雇されてしまう可能性が高いと言えます。もっとも、近いうちに回復が見込まれ、暫定的に配置できる他の部門があるならば、直ちに解雇することは違法とされる可能性もあります。


Question

Q:賃金とは何ですか。

Answer

A:賃金,給料,手当,賞与その他の名称のいかんを問わず,労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。退職金や賞与はそれを支給するか否かが使用者の裁量に委ねられているかぎりは,恩恵的な給付にすぎず,賃金ではありませんが,労働協約,就業規則,労働契約などでそれを支給することやその基準が定められているものは,賃金といえます。


Question

Q:不況の影響で一時帰休扱いとなっています。この場合,給料はもらえないのですか。

Answer

A:労務を提供できない場合に労働者が使用者に対して賃金を請求できるか否かは,労務を提供できない理由が使用者の責任にあるかどうかによって決まります。また労働者としても労務を提供していることが必要です(ただし使用者が労務を受け入れる余地がないとして拒絶の意思を明確にしている場合,労務を提供しなければならないという程度は軽減されます。解雇の場合が典型的です。)。
  一時帰休の場合,労働者が賃金を全額請求できるかは,一時帰休の必要性があったか,労使交渉がきちんと行われていたかなどといった事情を総合的に考慮して判断されます。
  仮に全額請求できない場合であっても,休業手当がもらえる可能性もあります(詳しくはQ5へ)。


Question

Q:会社が一方的に賃金を引き下げると言っています。従業員の同意も得ないで賃金を引き下げることは許されるのでしょうか。

Answer

A:賃金の引下げは,契約内容の変更になるため,原則として,労働者の同意なくして行うことはできません。注意すべき点は,仮に労働者の同意があったとしても,引下げ後の賃金が就業規則の水準を下回るものであれば無効となるということです。
経営上の必要性から労働者の同意なしに賃金を引き下げる必要がある場合,就業規則の賃金に関する規定を変更する必要があります。もっとも,賃金は労働契約のなかでも重要な地位を占めるものですから,賃金引下げの必要性が要求されるほか,労使間での話し合いをきちんと持ったかどうか,賃金引下げの不利益を緩和する措置を取ったかどうかでその可否を判断することになります。また変更した場合,使用者は,就業規則の変更内容を従業員に周知徹底する必要があります。


Question

Q:会社の車で交通事故を起こしてしまいました。会社は,修理費を私の給料と相殺すると言っています。問題はないのでしょうか。

Answer

A:賃金は,その全額を支払わなければなりません。その趣旨は,生活の基盤たる賃金を労働者に確実に受領させることにあります。使用者は,労働者に賃金を全額支払ったうえで,改めて労働者に損害賠償請求をすることになります。なお,労働者が修理費を給料から差し引くことに同意していても,自由な意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由がない場合,相殺は無効となります。


Question

Q:休業手当とは何ですか。

Answer

A:使用者の責に帰すべき事由による休業の場合,使用者は,休業期間中その労働者に,平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。この手当のことを休業手当といいます。ここでいう「責に帰すべき事由」とは,非常に広く,天災などの不可抗力に該当しないものであれば含まれると考えられています。具体的には,機械の検査や原料の不足などによる操業停止,監督官庁の勧告による操業停止なども含まれます。


Question

Q:私はプログラマーで,出来高制で仕事をしています。先月は不況の影響で収入が大きく低下してしまいました。このような給与体系に問題はないでしょうか。

Answer

A:出来高制とは,労働者の製造した物の量・価格や売上げの額に応じた一定比率で額が定まる賃金制度をいいます。出来高制を取る場合,使用者は通常の実収賃金とあまりへだたらない程度(目安として,平均賃金の100分の60程度)の収入を保障するようにその額を定めなければなりません。保障給が支払われない場合,使用者は,労基法120条で30万円の罰金に処せられますし,支払われていたとしても,基本給が最低賃金を下回る場合は,最低賃金法40条で50万円以下の罰金に処せられます。


Question

Q:賃金の請求権の時効は何年ですか。

Answer

A:労基法上,賃金は起算点から2年間請求しないときは,時効によって消滅するとされています。退職手当については,5年となっています。


Question

Q:会社が倒産しましたが,4か月分の賃金が支払われていません。泣き寝入りしかないのでしょうか。

Answer

A:会社が倒産した場合,賃金がどうなるかは労働者にとっては重要な問題です。
倒産手続にもさまざまなものがありますが,企業を清算して残った財産を分配する清算手続型の代表としては破産法があります。破産法では,破産手続開始前3ヶ月間の給料の請求権は財団債権とされ,配当手続を経るまでもなく,管財人によってそのつど弁済されます。それ以外の賃金債権も,民法上優先権が与えられていますので,配当手続では優先的な扱いを受けます。
また企業の再生を図る再生型の倒産手続の基本法としては民事再生法があります。賃金債権は,民法上優先権を与えられているため,手続開始決定後でも,それ以前と同様に随時支払いを受けることができます。
他方大企業などに適用される会社更生法のもとでは,手続開始前6ヶ月の賃金債権は共益債権として,更生管財人によってそのつど弁済され,それ以外は優先更生債権となります。
また,事業主が破産の宣告を受けた場合等には,国が事業主に代わって一定の範囲の賃金について立て替え払いをする制度もあります。詳しくは事業所を所轄する労働基準監督署にご相談ください。


Question

Q:法定労働時間とは何ですか。

Answer

A:法定労働時間とは,1週および1日の最長労働時間の設定のことをいいます。1日の法定労働時間は8時間,1週間の法定労働時間は40時間です。実際の労働時間が法定労働時間をこえる場合には,時間外労働時間(Q10をご覧ください)の要件を満たさないかぎり,使用者に対し罰則の適用があり,割増賃金支払義務が生じます。


Question

Q:時間外労働・休日労働とは何ですか。

Answer

A:時間外労働とは,1日または1週の法定労働時間をこえる労働のことをいいます。休日労働とは,法定休日(毎週1回の休日)における労働のことをいいます。使用者は,事業場における労使の時間外・休日労働協定(いわゆる36協定)を締結し,それを行政官庁に届け出た場合に限り,その協定の定めるところにより労働時間を延長し,または休日に労働させることができるのです。反対に,36協定なしに,あるいは36協定の定める限度をこえて時間外・休日労働をさせることは,8時間労働制・週休制の基準に違反する違法行為となります。


Question

Q:会社には36協定があるのですが,私には病気の子どもがいるので,時間外労働や休日労働はできません。断ることはできるのでしょうか。

Answer

A:労働協約や就業規則において業務の必要があるときは,36協定の範囲内で時間外・休日労働を命じうる旨が明確に定められているかぎりは,個別の同意がなくとも,労働契約上36協定の枠内でその命令に従う義務があると考えられます。もっとも時間外・休日労働を命ずる業務上の必要性が実質的に認められない場合は,命令は有効要件を欠くことになりますし,労働者に時間外・休日労働を行えないようなやむを得ない理由があるときには,命令は権利濫用になるといえます。


Question

Q:時間外・休日・深夜労働には割増賃金を支払わなければならないのですか。

Answer

A:当然,割増賃金は支払わなければなりません(労基法37条,119条)。強行規定ですから,仮に社員と合意のうえであっても,割増賃金の支払いを免れることはできません。
具体的な割増率は,(1)時間外労働の場合,賃金の2割5分以上,(2)深夜労働の場合,2割5分以上,(3)休日労働の場合,3割5分以上,(4)時間外労働+深夜労働の場合,5割以上((1)+(2)),(5)休日労働+深夜労働の場合,6割以上((2)+(3))となっています。
  仮に36協定を結んでいない違法な労働をさせている場合であっても,当然割増賃金の支払義務はあります。
 なお,法内超勤(たとえば就業規則で1日7時間の労働時間が定められていて,1時間だけ残業する場合や週休2日と定められていて,そのうち1日だけ休日出勤する場合)の場合には,割増賃金の支払義務はありません。


Question

Q:裁量労働制とは何ですか。

Answer

A:裁量労働制とは,一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について労使協定において実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなすものです。専門業務型,企画業務型の裁量労働制があります。対象労働者については,実際の労働時間数に関係なく,協定で定めたものとみなされます。もっとも休憩,休日,時間外・休日労働,深夜業の規制は依然として及びますので,みなし労働時間数が法定労働時間をこえる場合には,36協定の締結と割増賃金の支払が必要となることには注意が必要です。


Question

Q:私は,管理職で残業代が支払われていません。しかし管理職とは名ばかりです。やはり残業代を請求することはできないのでしょうか。

Answer

A:労基法上の管理・監督者に該当する場合,労基法に基づく法定残業,休日労働及びそれに関する規定は適用されません。管理・監督者とは,労働条件の決定その他労務管理について,経営者と一体的立場にある者をいうとされ,名称にとらわれず,実態に即して判断されます。具体的には,(1)職務の内容,権限はどのようなものか,(2)出社・退社等について自由度はあるか,(3)その地位にふさわしい処遇が認められているか,などを考慮して判断されることになります。


Question

Q:年次有給休暇とは何ですか。

Answer

A:年次有給休暇は,労働者(一部パートタイマーを除く)が6か月間継続勤務し,全労働日の8割以上出勤するという要件を充足することによって,法律上当然発生する権利のことをいいます。 採用後6か月に達した日の翌日に10労働日の年休権が発生し,そこから2年間は6か月をこえる勤務年数1年につき1労働日が加算されます。勤続2年6か月に達した日以降は,勤続1年ごとに2労働日が加算されます。最大日数は20日となります。パートタイム労働者でも所定労働日数が週4日または週30時間以上の者は,通常の労働者と同じ日数の年休を取得できます。


Question

Q:年休を取りたいのですが,会社側はその日に年休を取らせることはできないと言っています。

Answer

A:会社にとって「事業の正常な運営を妨げる場合」には,このような措置も可能です。会社のこのような権利のことを時季変更権といいます。
年休は労働者の権利ですから,会社としても代替要員の確保に努める必要があります。恒常的な人員不足から,代替要員を確保することが常に困難であるといった状況にある場合には,会社側の時季変更権の行使を正当化できない場合もあります。


Question

Q:今年度,有給休暇を消化することができませんでした。このような場合,来年度の年休に加えることはできるのですか。

Answer

A:年休の繰越は認められるのが一般的ですが,その場合でも,2年の時効があります。


Question

Q:年休の買上げをすることは認められますか。

Answer

A:年休取得を認めないことは年休を保障したほうの趣旨に反しますが,未消化の年休(2年の時効にかかってしまったもの)が生じてしまった場合,その日数に応じて手当を支給することは違法ではありません。


Question

Q:年休を取得したところ,皆勤手当は出せないと言われてしまいました。年休は権利なのに納得できません。

Answer

A:判例は,年休取得を一般的に抑制する趣旨での不利益取扱いであったり,年休取得の結果生じる不利益の大きさから年休取得を事実上抑止する効果を持つ場合でなければ,不利益措置も無効とはならないとしています。
  無効とされた措置としては,年休取得日を昇給上の要件である出勤率の算定にあたり欠勤日として扱うこと,賞与の算出において年休取得日を欠勤扱いとすることなどがあります。
  あなたの場合,皆勤手当の額にもよりますが,無効とまではいえない可能性が高いと考えられます。


Question

Q:私は期間1年の契約社員として雇用されています。まだ半年しか勤務していませんが,会社を辞めたいと考えています。可能でしょうか。

Answer

A:労働契約に期間の定めがある場合,その期間中は当事者双方を拘束されることを意味しています。ですから,期間中,使用者が労働者を解雇することは原則としてできませんし,労働者が一方的に辞職することもできません。もっとも,例外的に,労働契約を維持できない重大な事由が存在する場合には,ただちに労働契約を解除することができます。なお,辞職する理由によっては,使用者に対して損害賠償責任を負うことも考えられます。
 その他,使用者と労働者で合意が成立すれば,労働契約を解約し,終了させることは可能です。


Question

Q:退職願を上司に提出しましたが,考え直した結果,退職を撤回したいと考えています。可能でしょうか。

Answer

A:退職願は,労働者から労働契約を合意によって解約したいという意思表示(合意解約の申込み)を表した書面であると解釈されることが多いと思います。そのような場合,使用者の承諾があるまでは撤回できると考えられます。ここでいう使用者とは,退職の決裁権限を有する担当者のことをいいます。


Question

Q:上司から退職を強要され,精神的に追い詰められています。度を過ぎているように思うのですが,問題はないのでしょうか。

Answer

A:使用者が労働者に退職を促すことを「退職勧奨」といいます。退職勧奨は,労働者の任意の意思を尊重する手段でなされる必要があります。社会的な相当性を欠くような強制的で執拗な退職勧奨の場合,会社と退職勧奨をした人は労働者に対して損害賠償責任を負います。


Question

Q:上司に強要され,不本意ながら退職届を提出しました。退職するしかないのでしょうか。

Answer

A:会社担当者が労働者を長時間一室におしとどめつつ懲戒解雇をほのめかして退職を強要したと認められる事情があれば,強迫にあたるので,退職の意思表を取り消すことができます。その他にも,使用者が客観的に解雇事由がないことを知りつつ,労働者に解雇事由があるかのように信じ込ませてさせた場合は,詐欺にあたるので,退職の意思表示を取り消すことができます。


Question

Q:特に契約期間を定めずに労働契約を結んでいます。この場合,どうすれば会社を辞職することができますか。

Answer

A:期間の定めのない雇用契約においては,労働者は2週間の予告期間を置けば,理由を要しないで,労働契約を解約することができます(これを「解約告知」といいます。一方的な意思表示で足り,合意による解約とは異なります)。
 なお,労働者からの一方的な解約告知の場合,使用者に伝えた時点で解約告知としての効力を生じてしまいますので,意思表示を撤回することはできません(この点は合意解約の場合とは異なります)。


Question

Q:退職の証明をしてもらいたいのですが,可能ですか。

Answer

A:使用期間,業務の種類,その事業における地位,賃金や退職の事由(解雇の場合,その理由)について証明した書面のことを退職証明書といいます。労働者が証明書を請求した場合,労基法上,使用者は遅滞なく証明書を交付しなければなりません。


Question

Q:会社には定年退職後の再雇用制度があるのですが…。

Answer

A:定年後の再雇用の際には,双方の合意によって,新しく労働契約を締結する必要があります。したがって,使用者は再雇用をする者を選別したり,再雇用を拒否したりすることができます。
 もっとも,就業規則や労働協約で定年退職者に欠格事由のないかぎり再雇用の権利を与えていたり,そうでなくとも慣行として確立されている場合には,定年退職者には再雇用契約を締結する権利が生じます。


Question

Q:解雇が認められる場合とはどのような場合ですか。

Answer

A:まず,解雇が有効とされるためには「合理的理由」が必要となります。類型としては,第1に,労働者が労務の提供をすることができない(傷病やその治療後の障害のため働けないなど),あるいは労働能力や適格性が欠如しているといった場合,第2に,労働者に規律違反がある場合,第3に,経営上の必要性がある場合(合理化による職種の消滅や他職への配転不能,経営不振による人員整理など),第4に,ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求がある場合が挙げられます。第1から第3の事由については,裁判所は解雇できる場合を厳格に制限しています。すなわち,解雇が相当であると判断されるのは,当該事由が重大な程度に達しており,他に解雇を回避する手段がなく,労働者側にとっても解雇されてやむを得ないという事情がある場合にのみ認められるにすぎません。さらに懲戒解雇の場合,通常の解雇よりもさらに厳しい規制を受けます。一般的に服務規律違反は,単に普通解雇を正当化するだけの程度では足りず,「制裁としての労働関係からの排除」を正当化できるほどの程度に達していることが必要です。
次に,手続面ですが,使用者は労働者を解雇しようとする場合においては,少なくとも30日前にその予告をしなければなりません(除外事由もあります)。使用者が30日前に予告しない場合には,30日分以上の平均賃金を支払う義務があります。また労働者が解雇理由の証明書を請求してきた場合には,使用者は遅滞なく交付しなければなりません。
解雇は紛争になりやすいので,弁護士に相談することをお勧めします。


Question

Q:現在,解雇無効を求めて訴訟を検討しています。解雇期間中の賃金は発生するのでしょうか。

Answer

A:合理的な理由なく解雇された労働者が解雇無効の判決を得て職場に復帰する場合,解雇されてから判決を得るまでの賃金は,その間労働契約が存続していたものとして支払われます。裁判が終結するまでの間に,他の職業に就いていた場合には,前職の平均賃金の6割を超える部分については控除されます。


Question

Q:現在,会社では整理解雇を実施せざるを得ない状況にあります。どのような基準を満たす必要がありますか。

Answer

A:整理解雇は,普通解雇や懲戒解雇と異なり,労働者側の責任を理由とする解雇とは異なります。したがって,非常に厳格な基準を満たす必要があります。
 整理解雇が認められるには,いわゆる「4要件」を満たすことが必要とされます。第1に,人員削減の必要性が挙げられます。赤字が続いて人件費の削減を迫られているといった事情がこれに当たりますが,倒産必至という段階に至る必要はありません。第2に,解雇回避努力を尽くしたことが挙げられます。人員削減の必要性があったとしても,直ちに解雇という手段を取ってはいけないということです。まず,中途採用や新卒採用を抑制したり,配転や出向を実施したり,希望退職者を募集したりする必要があります(すべての措置を尽くすことが不可欠というわけではなく,個々の事情に応じた判断がなされています)。第3に,整理解雇がやむを得ない場合でも,人選の合理性(人選基準の合理性と基準の適用における合理性)が要求されます。一例としては,勤務成績や懲戒処分歴などや家族の状況など労働者への打撃の強弱によって判断した場合には,合理性が認められる傾向にあります。第4に,整理解雇が必要となった事情や人選基準について,労働者側に説明し,協議することが必要です。最終的に納得が得られない場合も多いでしょうが,誠実に対応することが必要です。
  整理解雇は紛争になりやすいので,弁護士に相談されることをお勧めします。


Question

Q:私は,来年3月に大学を卒業する大学生ですが,採用内定をもらっていたA社から「経営状況が厳しいので内定を取り消したい」と言われました。こんなことが許されるんですか?

Answer

A:採用内定により,来年4月を始期とし,社会通念上相当な解約事由が生じた場合にしか解約ができない労働契約が成立しています。解約事由の有無は採用内定通知書または誓約書に記載されている採用内定取消事由を参考に判断されます。したがって,A社は恣意的な採用内定取消しを行うことができません。恣意的な内定取消しの場合には,労働者は会社に損害賠償を請求することができます。ただし,従業員の解雇に比べると,内定取消しは認められるケースが多いです。


Question

Q:私はA証券会社に勤務していましたが,B証券会社からスカウトされ,B社マネージャー職の内定を得ていました。ところが,後日,B社の内定が取り消されてしまったんです。こんなことが許されるんですか?

Answer

A:中途採用者に対する内定の場合でも,それを取り消すことができるのは,社会通念上相当な解約事由が生じた場合に限られます。そのため,B社は恣意的な採用内定取消しを行うことができず,恣意的な内定取消しの場合には,労働者は会社に損害賠償を請求することができます。


Question

Q:私は,A社に就職活動をした結果,「まだ就職協定による採用内定開始日がきていないので採用内定を出すことはできないが,採用内々定とします。」と言われました。その後,A社から「先日の採用内々定は取り消す」との通知を受けたのですが,こんなことが許されるんですか?

Answer

A:「採用内々定」も当該ケースにおける拘束関係の度合いによっては,「採用内定」と認められることがあり得ますし,その場合は恣意的な破棄について損害賠償を請求することができます。


Question

Q:私はA社に採用内定をもらったんですが,その後B社からも採用内定をもらい,B社に行きたいと思っています。A社の採用内定は断っても大丈夫でしょうか?

Answer

A:労働者には解約の自由があるので,2週間の予告期間をおく限り,労働者の方から自由に内定取消しをすることができます。もっとも,あまりにも信義則に反する態様で行われた場合には損害賠償を請求される可能性もあります。


Question

Q:当社では社員が入社してから3ヶ月が経過するまでは「試用期間」としているのですが,試用期間中に社員が従業員としての能力や適格性に欠けることが判明した場合,本採用をしないことはできますか?

Answer

A:試用期間中の労働契約においては,企業に一定の解約留保権があるとされており,採用時には分からなかった雇用継続が適当でない事情が,試用期間中に明らかになった場合には本採用をしないことが許されるとされており,本採用をしないことが可能なケースもあります。


Question

Q:私は,外国籍であることを応募書類においては秘してA社から採用内定をもらいましたが,その後,A社に外国籍であることを告げたら採用内定を取り消されてしまいました。このようなことが許されるのですか?

Answer

A:労働基準法は,「使用者は,労働者の国籍,信条,または社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱いをしてはならない」と均等待遇の原則を定めているところ,今回のA社の採用内定取消は「国籍」による差別的取扱いにあたる可能性があります。A社の採用内定取消が差別的取扱いに該当する場合,A社に対して損害賠償が請求できます。


Question

Q:私は,A社の求人募集に応募し,採用面接を受けましたが,その場で「女子の採用予定はありません。」と言われ,採用内定には至りませんでした。このようなことが許されるのですか?

Answer

A:男女雇用機会均等法は,「労働者の募集および採用について,その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と規定しており,募集・採用にあたってその対象から男女のいずれかを排除することを禁止しています。A社の行為は男女雇用機会均等法に違反しますので,都道府県労働局長や厚生労働大臣による助言,指導,勧告などの措置をとってもらうなどの働きかけをしてもらうことが考えられます。


Question

Q:採用面接の際,新卒採用者の初任給は月額25万円だと説明を受け,労働契約を締結しましたが,実際の初任給は月額20万円でした。この場合,会社に何か言えないのでしょうか?

Answer

A:労働基準法上,会社は新しく労働者を雇う際には,労働者に対して賃金,労働時間など一定の労働条件を明示しなければいけないとされており,このときに会社から明示された労働条件が事実と異なる場合には,労働者は即時に労働契約を解除することができるとされています。また,契約で定められている賃金と実際に支払われている賃金の差額を請求することができます。


Question

Q:就業規則とは何ですか?

Answer

A:就業規則とは、使用者が一方的に作成するもので、労働条件などについて定めた規則です。
就業規則はその内容が合理的で、労働者に周知している限り、当事者を拘束します。


Question

Q:就業規則がこれまでよりも不利に変更されてしまいました。こんなことが許されるんですか?

Answer

A:基本的には、就業規則で不利益に変更することは許されません。ただし、変更の必要性が高く、また、変更の内容が合理的であれば、適法だと認められる可能性があります。


Question

Q:労働契約法ってどんな法律ですか?

Answer

A:使用者と労働者の契約内容をどのようにして決めるか、という点について、ルールを定めた法律です。


Question

Q:労働契約法はどんな人に適用されるのですか?

Answer

A:「労働者」と「使用者」に適用されます。「労働者」とは、使用者の指揮監督下で働き、対価として賃金をもらう人のことを指します。対照的なのは、仕事の完成の対価として金銭をもらうが、仕事の進め方などについては指示を受けずに自分で決定できる人のことで、これは「委任」や「請負」にあたります。
また、「使用者」とは「労働者」の労働条件(賃金・労働時間など)について実質的に決定権限を有している人を指します。


Question

Q:自分は契約社員としてトラック運転手をしていますが、労働契約法の適用はないのでしょうか?

Answer

A:「労働者」性は、契約の形式的な種類ではなく、実質的に見て指揮監督下にあるかどうかで判断します。
労働時間、労務提供場所を自分で決定しているか、トラックは会社から提供されているか、などの個別的な事情を検討することになります。


Question

Q:労働契約を巡るトラブルにはどんなものがありますか?

Answer

A:解雇、賃金カット、人事異動、業務内容や人間関係を巡るトラブルなどは、労働契約法で規律されます。


Question

Q:労働を巡るトラブルにあったら、どこに行けばいいですか?弁護士に頼むと、どんなことをしてもらえますか?

Answer

A:労働紛争を解決するための機関としては、大きく分けて、行政と裁判所があります。このうち、行政には、①総合労働相談コーナー、②都道府県労働局長による助言・指導、③紛争調整委員会によるあっせんという制度があります。行政による解決は、基本的には当事者間での話し合いを促したり、行政機関から使用者への指導により、柔軟な解決を図るものであり、個人でも利用できます。これに対して、当事者間で意見が対立し折り合いがつかないような場合、解雇や賃金カットなど深刻なトラブルの場合などは、弁護士をつけて、裁判所の手続で解決を図られることをお勧めします。弁護士が受任することで、相手方との交渉が有利に進められる場合が多く、一方的に不利な条件で和解するということもなくなります。


Question

Q:労働契約の内容はどうやって決まりますか?

Answer

A:基本的には労使間の個別的な合意に基づいて、決定されます。そのほかに、最低基準を定める労働基準法、就業規則、労働協約によっても決まります。


Question

Q:労働協約とは何ですか?

Answer

A:労働協約とは、使用者と労働組合との合意事項を定めたものです。通常は組合員に効力が及びますが、4分の3以上の従業員で構成される労働組合が締結した協約については、組合員以外にも効力が及びます。


Question

Q:労働者との契約内容を変更したいのですが、どうすればいいですか?

Answer

A:①個別の合意により変更する、②就業規則で変更する、③労働協約で変更する、という方法があります。②は、使用者が労働者の個別の合意を得ずにすることができますが、不利益に変更する場合には注意が必要です。(下記の質問を参照)


Question

Q:労働協約がこれまでよりも不利に変更されてしまいました。自分も新しい協約に拘束されるんですか?

Answer

A:労働協約での変更の場合は、原則として適法となります。ただし、特定の労働者のみに不利益が及ぶ場合や、内容が著しく不合理な場合には、効力が及ばない場合があります。


Question

Q:従業員が重要な企業秘密を外部に漏らしてしまいました。何か責任を問えないですか?

Answer

A:その行為により会社に損害が生じていれば、秘密保持義務違反による損害賠償を請求できる可能性があります。また、行為態様や漏らされた秘密の重要度によっては、懲戒解雇もありうるところです。


Question

Q:仕事で機械を使って作業をしていたところ,怪我をしました。いわゆる「労災」ではないかと思いますが,こういう場合,どこに,どんな請求をできるのでしょうか。

Answer

A:業務上の事故で,怪我や死亡した場合(労働災害)には,労災保険から補償を受けることができます。また,業務上,病気にかかったといえる場合(職業病)にも,労災保険からの補償が受けられます。また,その怪我や病気について会社等使用者の過失がある場合は,労災保険以外に,使用者に対して損害賠償を請求できることもあります。


Question

Q:私はパートタイマーとして働いていますが,機械の操作中に指を怪我し,1ヶ月入院しました。私のようなパートタイマーでも労災保険の適用はありますか。その他にも,パートタイマーの保護はどうなっていますか。

Answer

A:一部の事業所を除き,パートタイマーにも労働基準法の適用がありますし,怪我をした場合のような労災保険の適用もあります。また,パートタイマーも,一定の要件の下で,雇用保険の被保険者になり得ますし,健康保険や厚生年金保険の被保険者になり得ます。労災保険の適用について言えば,労働者を1人でも使用する事業者は,5人未満を雇用する農林水産業等の例外を除いて,労災保険が適用されますので,労災保険給付を受けることができます。


Question

Q:私の知り合いで最近リストラによって解雇された人が2人いるのですが,A社を退職した人は退職金が支給されたのに,B社を退職した人には支給されませんでした。退職金はどのような場合に支給されるのですか。

Answer

A:退職金はどのような場合でも当然に支給されるのものではなく,次のような場合に支給されます。
1 就業規則・労働協約・労働契約などの規定によって退職金を支払うことやその支給基準が定められている場合
2 就業規則等に定めがないときでも退職金支給慣行・個別合意などが存在している場合です。
ですので,会社に,退職金支給について定めた就業規則などが存在するかどうか,あるいは,既に退職した従業員に対して会社から退職金が支払われた慣行などが存在するかどうかを調べておく必要があるでしょう。


Question

Q:このたび,自分の所属する会社から,来月いっぱいで人員整理のために整理解雇すると通告されました。人員整理という理由でこのように簡単に従業員を解雇することができるのでしょうか。

Answer

A:整理解雇を有効とするためには,次の4つの要件を満たす必要があります。この要件を欠く解雇については,解雇権の濫用としてその有効性を争うことができます。
1  人員削減の必要性
→ 人員削減の措置が会社経営上の十分な必要性に基づいていること,あるいはそれがやむを得ない措置と認められること。
2 解雇回避努力義務が尽くされたこと
→ 希望退職者の募集をしたり,役員に関する費用の削減,従業員賞与削減など,使用者 (会社)として,解雇を回避するための努力が尽くされていること。
3 被解雇者選定の合理性
→ 解雇対象者の選び方について,客観的で合理的な選定基準が定められ,具体的な人選も公正かつ合理的であること。
4 説明・協議の手続を経たこと
→ 労働組合や労働者と十分な協議を重ねたなど,適正な手続を踏んだこと



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