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弁護士の随想録

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2009年11月24日

社会保険等

今回は、意外と知らない社会保険手続です。


1 年金に関する届出
 夫が会社員や公務員の場合、妻が専業主婦であれば、離婚に伴って、妻は第1号被保険者か第2号被保険者に切り替える手続をする必要があります。
 ①専業主婦の妻が、離婚後、会社員や公務員になる場合は、第2号被保険者になります。この場合は、就職した会社を通じて、手続きを行うことになります。
 ②専業主婦の妻が、離婚後、上記以外になる場合は、第1号被保険者になります。この場合は、自分で市区町村役場に行き手続きをする必要があります。収入が無いなどの理由で保険料が納付できない場合は、減免制度がありますので、市区町村役場に相談することをお勧めします。

2 医療保険に関する手続
 離婚に伴い、世帯主の保険に入っていた、他方の配偶者は、被保険者の資格を喪失することになります。そのため、新たに自分を世帯主とする保険に加入する必要があります。

①世帯主が国民健康保険に加入していた場合
ⅰ配偶者が国民健康保険に加入する場合
 市区町村役場に転入・転出届を出せば、加入できます。
ⅱ配偶者が健康保険に加入する場合
 配偶者の勤務先の会社を通じて手続きをします。

②世帯主が健康保険の被保険者であった場合
ⅰ配偶者が国民健康保険に加入する場合
原則として、資格喪失証明書を添えて市区町村役場で加入手続きをします。
ⅱ配偶者が健康保険に加入する場合
配偶者の勤務先の会社を通じて手続きをします。


3 子供の医療保険について
 子供が夫の健康保険に入っていた場合に、離婚して妻が子供を育てていくことになっても、子供は当然には被扶養者・被保険者としての資格を喪失しません。妻の保険に子どもを新たに加入させる場合には、別途の手続きが必要になります。
 ①国民健康保険に加入する場合
  被扶養者資格の喪失証明書を添えて、保険者に子どもの異動届を提出します。
 ②健康保険に加入する場合
保険者に移動届けを提出します。

4 その他の保険に関する手続き
 子どもの学資保険の名義を、夫から妻に変更する場合、夫の同意が必要になりますので、離婚をする前に名義変更を済ませておきましょう。

5 児童扶養手当
一定の要件を備えた児童を監護している母等に対し、子どもが18歳になるまで支給される手当で、
 ①父母が婚姻を解消、②父が死亡、③父が重度の障害者、④父が生死不明、⑤引き続き1年以上父に遺棄されている状態、⑥引き続き1年以上父が拘禁されている状態、婚姻によらないで生まれた場合に、所得に応じて支給されます。
 申請窓口は、市区町村役場です。

6 児童育成手当
 ひとり親に対して手当てを支給する制度ですが、自治体によって、支給対象、支給制限、手当額は異なります。

7 児童手当
 小学校終了前の児童を養育している人に対するもので、離婚をしていなくても支給を受けることができます。
 申請窓口は、市区町村役場です。


2009年11月16日

年金分割


Q 年金分割制度とは?

A 年金分割とは、公的年金のうち厚生年金・共済年金の保険料納付実績を分割する制度をいいます。
  国民年金は、分割の対象となりませんし、厚生年金基金・国民年金基金等も分割対象とはなりません。厚生年金基金・国民年金基金等は財産分与の対象として扱うことになります。

Q 年金分割の範囲は?
A 年金分割では、婚姻期間等に納付された保険料の一定割合を、分割を受ける配偶者が納付したものとして記録を付け替え、その納付記録を基にして給付金額が算定されることになります。「夫が年間100万円の年金を受給しているのだから、妻は最大50万円を現金で受け取ることができる制度だ」と誤解する方もいますが、単純に現金を分ける制度ではありません。

Q 年金分割制度の種類は?
A 年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
  合意分割とは、夫婦が年金をどのような割合で分割するかについて合意してい れば、離婚時に限って、婚姻期間の保険料納付実績を按分割合を最大2分の1として分割できるという制度をいいます。夫婦で合意ができた場合には、公正証書を作成します。合意ができないときは、夫婦の一方が裁判所に申し立てて、裁判所で按分割合を決めることもできます。
  3号分割とは、平成20年4月以降に、夫婦の一方が厚生年金、共済年金を納付した期間について、その配偶者の保険料納付実績の2分の1を自動的に分割できる制度をいいます。3号分割では、平成20年4月以降の特定期間(婚姻期間等)についてだけ年金分割がなされますので、平成20年3月31日以前の特定期間を含めて年金分割をする場合、合意分割の請求をする必要があります。

Q 年金分割をするにはどのような手続が必要ですか?
A 厚生年金の場合、夫婦の双方または一方から社会保険庁長官に対し、年金分割をするために必要な情報を提供してもらうことができます。これを「年金分割のための情報提供請求」といいます。回答の通知には、分割の対象期間や各当事者の対象期間標準報酬総額等が記載されていますので、それらを参考に分割を行うかどうかを検討し、分割を行う場合、以下のとおり、合意分割か3号分割を行う ことになります。
  合意分割の場合、請求すべき按分割合を定める夫婦間での合意または裁判に基づき、社会保険庁長官に対して標準報酬改定請求を行います。
  3号分割の場合、夫婦間での按分割合に関する合意は不要ですから、直ちに社会保険庁長官に対して、標準報酬額改定の請求を行います。
  原則として離婚の翌日から起算して2年以内に請求する必要があるので、注意が必要です。


2009年11月13日

面接交渉

面接交渉とは、父または母が子と面接やそれ以外の方法で、交流をすることをいいます。
面接交渉の方法(面接の回数、場所等)について、離婚時に決めることになります。必ずしも方法を決める必要はありませんが、離婚してしまうと、話し合う機会がなくなってしまうかもしれないので、離婚時に決めておくことがスムーズです。

では面接交渉についてどのように決めるのでしょうか。
まずは、両親の話し合いで決めます。
話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てることになります。
調停においては、子の年齢、父母のそれぞれの生活状況、両親の関係、年齢によっては子の意思も考慮し、決めていきます。
子にとにかく会いたい、あるいは、相手に絶対会わせたくない、という感情が先行してしまいがちですが、子の面接交渉を決めるにあたっては、子の福祉にとってどうなのか、という観点から考えることが重要です。

Q.相手が子を連れて実家に帰ってしまいました。別居して以来、子に会わせてもらっていません。離婚について話し合っていますが、条件が折り合わず、まだ成立していませんが、子に会うことはできますか。
A.離婚前でも、両親が別居中であれば、面接交渉を求めることはできます。話し合いで決まらなければ、調停・審判を申し立てることになるでしょう。
ただ、離婚後とは異なり、夫婦の問題が解決していない不安定な状態でもありますので、その紛争にむやみに巻き込まないよう、子に対する配慮は必要になってくるでしょう。

Q.調停で、子に月1回会うことになりましたが、相手が一切会わせてくれません。会わせてもらう方法はないでしょうか。
A.調停や審判で決めたのに、相手がそれに従わない場合、家庭裁判所に履行の勧告を求めることができます。
また、強制執行手続きもとることができますが、無理やり会わせるという直接強制でなはなく、賠償金を支払わせることによって、心理的に履行を強制する、間接強制の方法によることになるでしょう。

離婚をして、一方の親が子を引き取ったとしても、他方の親も、子の親であることには変わりありませんし、子の成長にとっても、養育されていない親に合うことは大事なことといえます。

子に会いたいのに会わせてもらえない、面接交渉の方法をどう決めていいかわからない、等悩んだ場合は、弁護士にお気軽にご相談ください。



2009年11月09日

養育費

養育費とは、子どもを育てていくために必要な費用(食費、被服費、教育費等)のことをいいます。
離婚にあたって、一方の親が子どもを養育することにした場合、他方の親に対して、養育費を請求して支払ってもらうことになります。
月々の分割支払いで、成人するまで、養育費を支払うと決めることが多いです。

では、養育費をいくら請求、あるいは支払えばいいのでしょうか。
一律にいくら、と決められているわけではありません。
両親それぞれの収入、子の年齢、人数、子の養育方針等、いろいろな事情に基づき、父母が話し合って決めていくことになるでしょう。
父母の話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てたり、裁判で決めることになります。
調停や審判等の法的手続きになった場合は、養育費の額について基準となる算定表というものがあり、それに基づいて決められることが多いです。
ただ、その場合も、特別な事情によって、基準額から増減する場合もあります。

Q.離婚時に養育費について決めなかったのですが、離婚後に請求することはできますか?
A.離婚後に養育費を請求することも可能です。
まず当事者で話し合いをして、それでも決まらなければ、調停・審判を申し立てることになるでしょう。

話し合いの段階でも、法的手続きを考える場合も、養育費としていくらが妥当なの?と悩んだら、弁護士に相談することをおすすめします。



2009年11月04日

慰謝料

慰謝料という言葉は、一般用語として用いられていますが、慰謝料は相手方の行為によって受ける精神的苦痛を慰謝するためのお金のことです。
①不倫による慰謝料について
 一番なじみがあるのは不倫による慰謝料だと思います。
 不倫による慰謝料は、不倫の期間、不倫の頻度などによっても変わりますが、おおよそ200万円から300万が認められることが一般的です。
 不倫による慰謝料が認められるためには、証拠が必要になります。相手方の携帯電話に不倫を内容とするメールがあれば、それを撮った写真、不倫相手と写っている写真、ラブホテルの領収書などは証拠になります。

Q相手方が不倫をしていると思うのですが、調査会社に依頼したほうが良いですか。
A調査会社によると思いますが、調査会社は不倫の調査に200万円ほどの費用を取っているようです。先に述べたように、不倫の慰謝料は2、300万ほどですから、経済的面からいえば、メリットは少ないといえます。
 この点を踏まえて、調査を依頼するかどうか判断してください。

 不倫による慰謝料は、不倫によって夫婦関係が破綻したことに対して認められるので、既に別居していたなど、不倫の前から既に夫婦関係が破綻していれば認められません。
 不倫による慰謝料が認められるためには、不倫の事実、それによって夫婦関係が破綻したことを立証していかなければなりませんから、弁護士に相談することをお勧めします。

②DVによる慰謝料について
 DVについての慰謝料についても、まず、DVがあったことを立証することが必要になります。
 医者に診断書を書いてもらうのが一番良いのですが、診断書がなくても慰謝料が認められることはありますので、あきらめずに弁護士に相談していただければと思います。

③その他の慰謝料について
 相手方が性交渉を理由もなく拒むなどの理由による慰謝料が認められた裁判例など、さまざまな事情による慰謝料が認められていますので、「こんな事情があるんだけど慰謝料は認められるの。」と疑問に思ったときは、お気軽に弁護士にご相談いただければと思います。



2009年11月03日

財産分与

 財産分与という言葉は、一般用語としても用いられていることが多いと思いますが、基本的には、婚姻中に得た夫婦の財産(夫婦共同財産といいます。)を分けることです。
 特別の事情がない限り、夫婦で財産を半分に分けるものと考えて結構です。

 問題となるのは、分ける財産に何を入れるかという点です。
 例えば、まだもらっていない退職金であっても、定年退職間近であるとか、公務員であるなど、退職金がもらえることがほぼ確実であるという事情があれば、退職金についても分ける財産の対象になります。
 このように、分ける財産に何が入るのかということを知らないと、もらえるはずの財産がもらえないということがあるので、弁護士に相談することによって、財産分与が多く得られるということがあります。

Q借金は財産分与の対象になりますか。
A借金だけで資産がない場合は、財産分与の対象としないのが一般的です。
 これに対して、資産と借金の両方がある場合は、資産から借金の金額を引いた財産を財産分与の対象にするのが一般的です。
 特に問題となるのは、住宅ローン付きの家がある場合です。この場合は、夫婦のどちらか一方が家に住み続けるという選択をすることが多く、どちらが家に住むとしても注意しなければいけない問題がありますので、弁護士に相談いただければと思います。

Q離婚を考えて別居をしたいのですが、財産分与に関して何かアドバイスはありますか。
A預金通帳等のコピーをした方が良いです。
 財産分与をするときに、相手方が財産を明らかにしない場合があります。そのような場合に、たくさんの貯金があるはずだといってみたところで、裁判所は認めてくれません。そこで、別居する時に預金通帳等の財産を示す証拠を取ってくることをお勧めします。

 他にも、分ける財産の対象を、別居した時点の財産にするか、離婚する時点の財産にするか等の争いがある点がありますので、私たち弁護士は、より有利な結論を得られるように主張していきます。
 お気軽にご相談ください。