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法人破産の研修
2012年4月28日
名古屋新瑞橋事務所 弁護士 森田祥玄

他士業向けに、法人破産の研修会を行う予定です。

そこで、研修で使用する事例を紹介します。

株式会社ASという架空の会社を題材に致します。

この事例をどう膨らませるのかは、研修を聞いてのお楽しみ。

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名古屋市で家具の卸売りと販売業を営むAさん。 65歳。

40歳で父親の後を継ぎ、株主は全て身内。 ほそぼそと続けてきたが、気が付けば従業員30人規模の会社に。

自宅の不動産があるが会社の債務の抵当に。 営業所は名古屋丸の内と名古屋新瑞橋に2つ、倉庫は小牧と津島にそれぞれ一つ。

特にここ5年ほど、家具の売上げが落ちている。 売上げが前年比の70%という年が続いている。

外国製の激安店との競争、量販店の出店で苦戦が続く。

近時のインターネットショッピングの普及と急激な円高で、経営が行き詰まっている。

メーカーに相談するも、冷たい対応。 ここ2年は、支出が入金を上回る。

自分の給与は月50万円だが、かなりの金額を会社に貸し付けている。 銀行には、不動産か人的担保を差し出さなければ貸さないと言われている。 商工ローンばかりか、個人的にサラ金に借り受け、ついにはヤミ金にも手をだした。

東京で働く息子が帰郷した際に、家族会議を行った。 奥さんは経理を担当していたため、状況は把握している。

「お父さん、もう十分頑張ったよ」との息子の言葉で、肩の荷がおり、倒産を行うという気持ちへ。

「思えば、欠損がではじめたころにお店をたためばよかったなぁ。 いいときのイメージがあり、決断ができなかったよ。」

Aさんは、税理士事務所の代表が古くから知人であるというB弁護士を訪ねた。

しかし、「法人破産は弁護士複数名が2週間~1ヶ月は掛かりきりになる。申し訳ないが、今は責任を持って受任はできない」と断られた。

Aさんは、B弁護士から紹介を受けたC弁護士を訪ねた。

しかし「あれ。債権者の1社である○○信金はうちの顧問先だね。申し訳ないけど、利益相反で受けることができない」と断られた。

途方に暮れて、再度税理士の先生に相談をしたところ、若手税理士の知人であるU弁護士を紹介して頂いた。

U弁護士は「今なら主担当弁護士として僕とM君、副担当を数名で、なんとか対応します」と言った。

弁護士探しにも疲れ、税理士の先生を信じて、依頼をすることにした。 平成24年7月2日のことだった。

Aさんはいつ事業を停止するのか、U弁護士と相談をした。

様々な費用面を考え、「会社に現金・預貯金がある日」がどこかという視点から考えた。

入金は月末が一番多い。

仕入れ先への支払も月末が多いが、振込がほとんど。 仕入れ先への振込をしないのならば、月末が現金が多い。

弁護士と相談のうえ、7月31日事業停止、8月1日告示と決定した。 相談をした7月2日から、わずかに1ヶ月しかない。 感傷に浸る暇もない。

AさんはU弁護士から、必要書類一覧を渡された。 一瞬その分量にめまいがしたが、妻がほとんど本社内にある書類だといい、気が楽になった。

Xデーまでに、債権者の一覧と債務者一覧、従業員一覧、その他取引先一覧は必須と言われ、数日かけて作成した。

同時にU弁護士は事務所内の弁護士とスタッフに、書面作成を指示した。

本当は早く在庫を処分し換金したかったが、従業員に発覚する可能性が高いため、諦めた。

Xデー後に弁護士が売却することになるかと思っていたが、「破産管財人に全て委ねる」とのことだった。

賃貸借関係も「破産管財人に任せる」、不動産の任意売却も「破産管財人に任せる」とのことであった。

U弁護士からは、「予納金の目処がついている事案では、破産管財人に全て委ねる。S管しか難しい場合、申立前にいろいろ行う」と説明を受けた。

月末が近づくと、振込をしていない取引先、金融機関から次々と電話が掛かってきた。

リース会社は担当者が心配で訪問をしてきた。 AS社の従業員は、うすうす気付いているようだ。

7月31日、従業員を本店に集め、破産をすることを告げた。 弁護士のアドバイスに従い、解雇予告手当として1ヶ月分の給与相当額は、現金で支払った。 倒産した企業の従業員用に、未払賃金立替払制度があるのだが、解雇予告手当は支給されないとのことであった。

8月1日、丸の内本部はU弁護士が、新瑞橋支店と津島、小牧の倉庫はM弁護士が、告示書を貼りに行った。 小さくインターネット上にも掲載された。

法律事務所から、各債権者宛、連絡書が送付された。

連絡書の文章は事案により様々とのことだが、今回は、「間もなく破産申立を致します。ご迷惑をお掛けします。破産管財人からまた連絡が行きます」という趣旨の文章が記載されており、基本的には全て破産管財人とやり取りをして欲しいという文書が送付された。

また、こちらの売掛先については、「破産管財人から連絡が行くので、銀行への振り込みは一時中断し、管財人が指示する口座に振り込んで下さい」と短く記載された文書が送付された。

いくつか取引先から直接電話があったが、全て弁護士に一任しているとだけ伝えた。
8月1日の夜、U弁護士から電話があった。 何社かは不満を伝えられたが、過半数は淡々と今後の手続の流れを問い合わせてくる程度で、大きな怒りには遭遇していないとのことであった。

Aさんの元へは、従業員からの問い合わせがいくつかあった。 社会保険の手続については、U弁護士の事務所にいる社会保険労務士さんに聞くように伝えた。 弁護士とそのスタッフは、徹夜に近い状態で書面を作成しているようだ。
私の元へも、細かい書類の質問で、何度も電話が掛かってくる。

Aさんは毎日そわそわしているが、特に事件らしいことはおこらない。 弁護士からの連絡も全て事務的なものばかりだ。

Aさん自身はそれほどやることがない。 「手伝いましょうか」と声を掛けても、「今はゆっくり休んでください」と言われるだけであった。

8月5日、U弁護士から、破産申立が完了したと電話があった。

申立が完了した後、数日で、破産管財人という、別の弁護士が選任されるとのことであった。
破産管財人となる弁護士は既に裁判所が調整済みで、7月末ころには内諾を得ていたとのことであった。

破産管財人が選ばれるまでがU弁護士が窓口、それ以降は破産管財人が窓口になるとのことであった。 その後、1ヶ月に一回程度のペースで、破産管財人と打合せを行うことが決まった。

11月1日、1回目の債権者集会が開かれた。 出席した債権者は全体の1割、6人だけだった。

M弁護士からは、激しいやり取りが行われることもあると聞いていたため、やや拍子抜けである。

怒号が飛び交うこともなく、淡々と管財人の説明と裁判官の説明がなされる。

質問はいくつもでたが、手続の流れ、今後の方針に関することばかりであった。

在庫の売却で管財人が奮闘してくれて、ほんのわずかだが配当をすることができたとのことであった。

そして、翌年の25年6月1日、法人の破産が終わると同時に、Aさん個人の免責手続が行われた。 事業を辞めると決めてから、10ヶ月後のことであった。

幸いなことに、Aさんには年金があった。息子からの仕送りもあり、ほそぼそと老後を送ることが可能であった。 従業員もそれぞれ、なんとか再就職先を見つけたようだ。 無理に無理を重ねた事業経営が終わり、初めて自分の時間を取ることができた。 これからはひっそりと暮らそうと思う。

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法人破産のイメージをつかんで頂くことはできますでしょうか。

早めの相談が大事です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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