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2012年9月の記事一覧
2012年9月20日
名古屋新瑞橋事務所 弁護士 森田祥玄

「労働基準監督署に相談に行ったら、労働審判をすすめられた」という労働者側からの相談も、「従業員から労働審判を申し立てられた」という会社側からの相談も、増えています。

以前は労働紛争の法的な解決手段は訴訟が大半でしたが、労働審判制度ができてからは、労働審判を選択する人が増えています。

今では、いきなり訴訟を提起する人よりも、まずは労働審判での話し合いを選択する人の方が多く、労働審判制度がわれわれ弁護士にとっても主流な解決手段となってきました。

司法制度改革の議論をするときに、「労働審判制度は成功している」という評価をする専門家も多く、私自身も以前の訴訟に比べてとてもいい制度であると感じています。

労働審判のメリットは、解決が早いという点です。

訴訟を提起した場合、おおむね一年前後はかかります。

しかし労働審判ではおおむね2か月~3ヶ月程度で決着がつきます。

なぜ労働審判は解決が早いのか。

これは裁判所の努力によるものだと思います。

他の分野の訴訟では、訴訟を提起するとおおむね1月半後に第1回の裁判の日程が入り、その1か月後に相手方の反論が提出され、数か月かけて証拠収集が行われ・・・と、あっという間に半年から1年ほど経過します。

ところが労働審判では、1回目の話し合いの前に、多くの資料の提出を裁判所から要請されます。

まだ申立をする労働者側の場合ある程度覚悟と準備ができているのですが、申立をされた会社側の場合、資料を準備するのにとても苦労します。

他の訴訟では弁護士が「申し訳ないですが間に合いません」と伝えると裁判所は、「それでは、その次の回までには必ず準備をお願いします」と答えてくれることも多いのです。

しかし労働審判の場合はそうはいきません。

あくまでも名古屋地方裁判所の運用ではありますが、裁判所から「どうにか間に合わせてください」「なんとかコピーを提出してください」と、急かされます。

また、指定された日が都合が悪く出席できないと連絡しても、「なんとか都合をつけてください」と粘り強く交渉されます。

他の類型と違う運用なので、弁護士からの戸惑いと反論もあったことかと思いますが、裁判所の地道な努力・督促により、今では多くの弁護士が「労働審判とはそういうものだ」という前提で、夜な夜な資料を収集し、依頼者の陳述書を作成し、争点に対する主張を作成しています。

実際にも、第1回の話し合いである程度裁判所(審判官・審判員)は考え(心証)を固めます。

われわれ弁護士も第1回前にできる限り多くの資料を提出し、依頼者の正当性を裁判所に伝える必要があります。

やれやれようやく書面を提出できたと思ったら、数日後に相手方の反論が提出されることがあります。それに対しては、やはり再反論をしておく必要もあります。

弁護士にとってはつらい制度なのですが、しかし利用者にとっては優れた運用となっています。

 

 

解雇や雇止めなど、労働契約を終了させられた事案は、特に労働審判に向いています。

解雇された労働者は、複雑な心境です。

職場復帰できなければ生活が困窮する一方、一度解雇されてしまった会社に再度復帰することに対する心理的な抵抗もあります。

訴訟を提起し「解雇は無効だ。労働者としての地位がある」という判決を取得しても、現実に戻ることは困難な場合もあります。

そのような複雑な心理状態も考慮して解決案を提示することもできますので、その点では普通の訴訟よりも優れています。

多数人の残業代請求、労災事件については、ち密な審理が必要となるなどの理由で、裁判所が「労働審判に適さない」(いわゆる24条終了)と判断をすることもあります。

但し、労働者側・会社側双方が話し合いに応じる姿勢を示した場合は、一応労働審判手続は行い意見を聞くというステップを踏むこともあります。

行政の相談コーナーなどのパンフレットには、訴訟や仮地位仮処分については説明はなくても、労働審判の説明は書いてあります。

そのこともあってか、近年労働審判の相談をされるかたが非常に増えています。 一度弁護士にご相談ください。

2012年9月3日
津島事務所 弁護士 南義隆

当事務所で,高齢者チームのチーム長をしております弁護士の南善隆です。

当事務所は,従来,交通事故や破産等様々な法分野について,弁護士間の知識及び経験を共有する観点から,弁護士でチームを構成し,所内研修や書式改訂作業を行い,実際の実務処理に役立てて参りました。

昨今,高齢者社会を迎え,より複雑化する高齢者案件についての知識や経験を弁護士間で共有し,実務処理にフィードバックするため,昨年より高齢者チームを立ち上げ,今まで以上に高齢者案件に特に力を入れております。

10月より新たに,弁護士,税理士,司法書士の3士業に同時に相談できる「高齢者案件専用相談窓口」を開設予定ですので,是非ご利用下さい。

高齢者案件は,相続税の申告や不動産の登記が関わる場面が多いため,弁護士だけでなく,税理士や司法書士に相談・依頼しなければならないケースがあります。そのような場合,本来個別に相談に行かなければならないところ,当事務所では3士業に同時に面談し相談できる窓口をもうけることで,相談者様及び依頼者様の物理的・時間的・精神的負担軽減を図りたいと考え,上記窓口を開設することといたしました。

さて,今回は,高齢者案件の中でもポピュラーな遺産分割案件の概要についてお話させていただきます。

遺言書がない場合,遺産は法定相続分通りに相続人間で分割されるのが原則ですが,一部の相続人により生前に引き出されているケースや,一部の相続人のみに多額の生前贈与がされている,特別に寄与した相続人がいるなど,法定相続分通りに分割した場合に相続人間で不公平となるケースがあります。

また,遺言書があっても,遺留分に配慮しない遺言書の場合には紛争が生じる可能性があります。

名古屋では,遺産分割案件は,名古屋家庭裁判所の遺産分割センターにおいて専属的に取り扱われております。

1 遺産分割の基準時

Q,「父が亡くなって,今ある預金を法定相続分通り兄弟で分けようと思いますが,弟が生前に勝手に引き出している預金が随分あるようです。生前の引き出し分も含めて遺産分割調停で解決できるのでしょうか」

A,遺産分割は,現在ある遺産を分ける手続きですので,「相続開始時」(被相続人が亡くなった時)ではなく,現在=遺産分割時の遺産を分けるに過ぎません。

よって,生前に引き出し分がある場合,それが生前贈与であれば特別受益の問題として遺産分割で考慮が可能ですが,無断で引き出した場合などは被相続人の当該相続人に対する不当利得や不法行為に基づく損害賠償請求権として,最終的に民事訴訟手続で処理されるべき問題となります。

要するに,今ある遺産は遺産分割調停事件(名古屋家庭裁判所で行われます)で解決を図るのに対し,過去の引き出し分については民事訴訟事件(訴額によりますが,一般的には名古屋地方裁判所で行われます)で解決を図ることになります。それぞれ別の手続きで解決を図らなければならないのは,依頼者様にとっても負担のかかることなので注意が必要です。

もっとも,遺産分割調停事件は話し合いの手続きですので,当事者間で生前の引き出し行為分も含めて調停における話し合いで解決できるケースもあります。

2 寄与分の主張の難しさ

Q,「兄弟の中で私だけが親が入所していた施設に毎日お見舞いに行き,施設の様々な手続きをしてきました。これは寄与分として考慮されないでしょうか」「私は,親の事業を引き継ぎ出資しましたが,これは寄与分として考慮されないでしょうか」

A,特別受益(生前に一部の相続人のみが遺産から利益を受けている場合)は,お金の流れが立証可能であれば,遺産分割調停においても考慮されます。

しかし,寄与分については,「特別の寄与」と評価できる寄与行為があり,それと,被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係が必要となりますので,実際の遺産分割事件で大幅に考慮されるのは難しいものとなっています。

寄与分の主張は,上記質問のように「療養看護型」と「事業関与型」に大別されますが,療養看護型については,まず「特別の寄与」と評価できるかが大きな問題となります。夫婦や直系親族間では扶助・扶養義務がありますので,それを超える程度の「特別な」寄与でなければ,寄与分として考慮されるものとはなりません。自宅介護を数十年間行った場合と,施設に入所し,週に1回程度お見舞いに行ったに過ぎない場合とでは,寄与分として評価されるかで決定的に異なってきます。被相続人の当時の病状やどのような療養看護を要したかが重要な指標となってきます。

次に,親の事業に出資した場合についてですが,被相続人と被相続人の営む会社とでは,法律上別人格ですので,直ちに因果関係は認められないということになります。

寄与分については,まさにケースバイケースの判断が必要となり,主張立証の難しい分野ですので,一度専門家に相談されることをお勧めします。

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