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弁護士コラム Column

銀行口座の売買は犯罪になるのか?

2017年09月29日
高蔵寺事務所  弁護士 服部 文哉

 最近は、厳密な本人確認はあるものの、スマホアプリを通じても口座を作成できる金融機関も登場し、利用者の利便性はますます高まっています。しかし、他人に利用させるために口座を開設したり、開設した口座を他人に譲り渡すといったことは、決してやってはいけません。 まず、現在では、どの金融機関も、預金規定により他人による口座の利用や、口座の譲渡は禁止しているのが通常です。にも関わらず、口座を他人に利用させたり譲渡したりする意図を隠して口座を開設することは、金融機関を騙して口座を開設したことになり、詐欺罪に該当すると評価されるおそれがあります。銀行口座なんてタダで作れるものだし、残高0なんだから、人に譲ったって詐欺にはならないだろう、などと即断することは危険です。銀行の通帳は、銀行と取引できる資格を示す重要なものであり、これをだまし取ることは、他人から財産的価値のあるものを不法に領得する行為ということができます。 また、犯罪収益移転防止法28条2項は、相手方に、他人になりすまして金融機関との間における預貯金契約にかかる役務の提供を受けたり、他人にその提供を受けさせる意図があることを知りながら、その者に預貯金通帳等を譲り渡した者につき、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金を科すことを定めています。 最近、ヤミ金融業者などが、他人が作成した預金口座を利用して違法な取り立てを行ったり、架空請求を送り付け金融機関の預金口座に振り込みを請求するなど、組織的な犯罪において、譲り受けた口座が使用される例が相次いでいます。 このような事態に対処するため、犯罪収益移転防止法が度々改正され、本人確認の厳格化などの措置が取られています。社会的にも口座の譲り渡しには厳しい目が向けられており、最悪の場合銀行口座の凍結など、重大な結果をもたらすこともあります。 買い取りを行う側も、様々な手段を講じてきます。口座を買い取るのではなくて、リースを受けるだけだから違法ではないとか、警察に発覚しても、通帳を落として誰かに使われただけだといえば問題はないとか、自分たちに都合の良い説明をしてくる場合があります。また、違法な高金利でお金を貸付し、返済できなくなると銀行で口座を作って引き渡すように命令してくることもあります。 高金利でお金を借りてしまって生活に困っている方や、家族や勤務先への過剰な請求など、違法な取り立てに悩んでいる方は、一度弁護士にご相談になることをおすすめします。また、口座の売買で警察の捜査の対象になってしまった場合にも、早急に弁護士に相談するべきです。 

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