弁護士コラム|労働災害が起こった場合の企業の責任 その2|名古屋丸の内本部事務所

ご相談窓口

052-212-5275

受付時間 【平日・土日】9:30〜17:30

アクセスマップ

ご相談窓口

052-212-5275

受付時間 【平日・土日】9:30〜17:30

アクセスマップ

アクセスマップアクセスマップ
電話をかける電話をかける

弁護士コラム Column

労働災害が起こった場合の企業の責任 その2

2019年11月18日
弁護士 加藤 耕輔

先に、労災事故が起きた場合の、行政上の責任・刑事上の責任について記述させていただきました(「労働災害が起こった場合の企業の責任その1参照」)。
今回は、⑶民事上の責任について、記述したいと思います。⑶民事上の責任は、簡単にいえば、労災事故により被災者に生じた損害を賠償する責任です。
判例上、被災者が、個別の安全配慮義務の特定、使用者の故意・過失の主張立証する責任があるとされています(最二小判昭和56年2月16日)。
したがって、被災者の側で、会社に安全配慮義務違反があったこと、および故意過失を主張立証しない限り、全損害の賠償は受けられないこととなります(もっとも義務違反の事実があれば過失は認定されることが多いとは思いますが)。

しかしながら、会社の故意過失を証明することは一定の困難が伴いますし、労災事故後、治療費などを、一旦、被災者がすべて立替えなければならないというのは現実には無理があります。
そこで、被災者保護のため、特別法として、労働基準法は「第8章 災害補償」において労災補償制度を設けて、会社の故意過失に関係なく、会社に対して一定の補償責任を課しています。 

ですが、労基法上の補償制度だけでは、会社に支払能力ない場合には、被災者補償が果たされない事態が生じ得ます。
そこで、政府が保険制度として運営し、使用者は義務としてこれに加入し保険料を納め、労災を被った労働者がこの保険によって補償を受けられるようにして、労基法上の業務上補償制度の限界を補う労災法に基づく労災保険制度が設けられています。もっとも、前記の①労基法上の業務上補償制度や②労災法上の労災保険制度では、療養補償を除き、実際に被った全損害ではなく、賠償額が定額化されており、また精神的損害(慰謝料)については、補償されないため、会社に安全配慮義務違反があり、同違反につき故意過失がある場合には、別途前記の民事上の賠償責任を求めていくこととなります。