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弁護士コラム Column

財産分与と税金について

2021年11月09日
岐阜大垣事務所

弁護士法人愛知総合法律事務所の離婚コラムをご覧の皆様,弁護士の石井健一郎です。
​ 今回は,離婚に伴う税金関係のコラムを,3回に分けて掲載いたします。

​​ 1 離婚の成立に伴う財産の動き
 ​ 離婚は,婚姻関係の清算の場面であり,かかる関係がどの様に清算されるのかは夫婦次第ではあります。ただ,一般的には①財産分与,②慰謝料,③(お子様がいる場合には)養育費の授受の約束によって解決が図られることになります。

​​ 2 税金についての前提知識
 ​ 詳細については紙面の都合上割愛致しますが,財産を渡した人,受け取った人にそれぞれ所得税や贈与税等が課される可能性があります。そこで,上記①~③について,どのような場合に課税され,または課税されないのかを,コラムを3回に分けて,検討していきます。

​​ 3 ①財産分与について   
​ コラムの第1回は,財産分与と税金についてご説明します。
​ ⑴ 受け取る側の税金
 ​ 国税庁の定める通達によれば「婚姻の取消し又は離婚による、財産の分与によって取得した財産については贈与により取得した財産とはならない。」とされています(相続税法基本通達9-8)。したがって,原則として財産分与にあたっては贈与税が課税されることはありません。
 ​ もっとも,例外的に,「その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の努力によって得た財産の額の他一切の事情を考慮してもなお過当である部分」(同通達但書)が存在する場合については、当該部分につき贈与によって取得した財産として贈与税の課税対象になります。
 ​ また,「離婚を手段として贈与若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価格」(同通達但書)についても同様に贈与税の課税対象となります。
 ​ つまり,財産分与の実態としてそぐわないような過大な分与を受けた場合や財産分与を隠れ蓑にした所得隠しの目的で譲渡が行われた場合には,その部分については相続税の課税対象になるということになります。
 ​ なお,所得税や贈与税ではありませんが,後述のように不動産の形で分与を受けた場合には不動産取得税及び登録免許税が課されます。
​ ⑵ 渡す側の税金
 ​ 財産分与として,現金又は預貯金等の金銭債権を譲渡する場合,所得税は課されません。
 ​ しかし,離婚に伴う財産分与として不動産を譲渡した場合,通達によれば「民法768条の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価格により当該財産を譲渡したことになる」(同通達33-1の4)とされており,当該不動産の譲渡益は所得税の課税対象となります。
 ​ この点,現預金で分与した場合に非課税となるにも関わらず,不動産の譲渡によって分与した場合には課税されることにしっくりこない方が多いとは思われますが,兎にも角にも離婚問題のプレイヤーとしては,財産は不動産を分与するよりも現預金で分与した方が不要な支出を防ぐことができることになります。
 ​ その他方,やむを得ず不動産の形で譲渡せざるを得ない場合においては,「配偶者に対する居住用不動産の譲渡の特例」(租税特別措置法35条)等により可能な限り節税を図ることができないか検討すべきことになります。

​​ 4 次回
 ​ コラムの第2回では,慰謝料と税金についてご説明する予定です。

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