自己破産したとき、家族名義の預貯金はどうなるか
サラ金業者等からの借入れが多くあり、返済が滞っているため自己破産したい、一方で、家族には迷惑を掛けたくないが、家族の名義の預貯金などはどうなってしまうのかといったご相談を受けることがあります。
そもそも破産とは、最低限生活できるための財産(自由財産と言います。)を除く財産を換価して、債権者に配当し、配当により返済しきれなかった債権について免責されることにより、経済生活の再生を図るという目的の元に行われる手続です。
そのため、自己破産しようとする方の名義の預貯金などの財産は、自由財産(99万円以下)以外については破産手続上換価の対象となる可能性があります。
では、家族名義の預貯金は、破産者の財産とは別ということで換価の対象にはならないということになるのでしょうか。
この点については、家族名義の預貯金であっても、破産者がこの預貯金口座から出捐している場合などは問題になり得ます。
すなわち、判例では、普通預金が誰に帰属するものなのかという点に関して、預金を誰が出捐しているか、通帳や届出印の管理を誰がしているかといった事情を考慮しているようです(最判平成15年2月21日民集57巻2号95頁、裁判平成15年6月12日民集57巻6号563頁)。
自己破産の場合もこれと同様に、家族名義の預貯金であっても実質的に見て破産者が主に預貯金の入出金を行っている場合などは、破産者の財産とみられる可能性もあります。
純粋にご家族の方が使われている預貯金であれば破産手続との関係では問題にならないのが大半ですが、上に述べたような場合は問題となり得る点には注意が必要です。