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弁護士コラム Column

「平成35年に金銭を支払う」とする契約書は有効?

2019年12月02日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 岩田 雅男

皆様,こんにちは。

名古屋丸の内本部事務所で勤務をしております,弁護士の岩田雅男です。

2019年も年の瀬を迎えております。

 

2019年の大きな出来事といえば改元です。御存じのとおり,「平成」から「令和」に元号が変わりました。

判決文などの公的文書では,和暦が用いられることが原則となっていることから,弁護士業界でも一部混乱がありました。今回は,改元に伴う法律上の疑問点について解説を行いたいと思います。

 

例えば,「お金を貸したので,契約書に基づいて相手に返還を請求したいのですが,できますでしょうか。」というご相談をいただいた際に,契約書には,「平成35年に支払う」と記載してあったとします。

しかし,平成31年をもって元号が変わっているので,平成35年は存在しません。

はたして,このような支払の期限は,有効なのでしょうか。

 

結論から申し上げると,このような支払の期限でも有効です。

したがって,相手方は,「平成35年は存在しないことから,支払わなくてもよい」と主張することはできないということになります。

 

契約の効力が有効であるかは,当事者の合理的な意思はどのようなものであったのか,という観点から検討がなされます。

 

この場合の当事者の合意は,「契約締結日から一定期間経過した場合に,借りたお金を返す」「その期限は,今から〇年後の平成35年(=2023年)である」という内容の合意であると考えるのが合理的です。平成35年という記載に主眼が置かれていたのではなく,「今から〇年後」という点に主眼が置かれていたと考えるべきです。

したがって,相手方は,支払を拒むことができません。

 

よく考えてみると当たり前といえば当たり前ですが,念のため覚えておいてもよいのではないかと思います。

 

なお,公的文書の元号表記ルールは,内閣府から「改元に伴う元号による年表示の取扱いについて」という方針が示されているようですので,興味がありましたらご覧ください。

 

上記の改元に伴う契約の有効性にかかわらず,契約一般の有効性や金銭の回収可能性等に疑問がありましたら,ぜひご相談ください。

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