【弁護士解説】「やってない」のに被害届・告訴?逮捕を避ける初動

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弁護士コラム Column

【弁護士解説】「やってない」のに被害届・告訴?逮捕を避ける初動

2025年10月20日
東京自由が丘事務所  弁護士 多良雄一郎

弁護士へすぐに相談する理由

身に覚えのないことで警察から連絡が来た場合、一人で不安を抱え込まずに、すぐに弁護士に相談してください。

​​弁護士に相談することで、今後の方針や、取調べの際の基本的なスタンス・対応等について事案に応じた具体的なアドバイスを受けることができ、不安を軽減することができます。

​​ ・アリバイとなる証拠の確保

​​冤罪を晴らすためには、位置情報やLINE・メールのやりとり等アリバイとなる証拠を確保しておくことも重要です。

​​ ・相手へ直接連絡しない

​​また、被害者がいる犯罪では、被害者への対応が非常に重要です。

​​ 被害者に対して直接謝罪したい、示談交渉をしたいと連絡を取ることは、被害者の恐怖心を強めたり、被害感情を逆なでしてしまう可能性が高いです。

​​ 弁護士に依頼をすることで、被害者の被害感情に配慮した示談交渉を進めることができる上、被害者が十分に納得し、実際に示談ができることになった場合には、必要な条項が網羅されている法的に不備のない示談書を作成することが可能となります。

任意同行と逮捕の違い・事情聴取の実際

・任意同行・任意出頭・事情聴取とは

​​任意同行は任意に警察署等への同行を求めるものであるため、拒否することができますが、逮捕には強制力があるため、警察署等への連行を拒否することはできません。

​​警察官や検察官といった捜査機関の呼出しを受け、それに応じて出頭することを任意出頭といいますが、被疑者は逮捕または勾留されている場合を除いては、取調べに出頭する義務はありません(刑事訴訟法198条1項但書参照)。

​​ なお、取調べは事情聴取と呼ばれることもあり、いずれも捜査機関が事件関係者から事件に関する事情を聞くことをいいます。 取調べの所要時間や取調べで聞かれる内容についてはこちらの記事を是非ご覧ください。

警察の取り調べは何日かかる?応じなくてもいいか弁護士が解説

取調べに出頭するかどうか

取調べに出頭するかどうかは任意であるものの、何らの意思も表明しないままに出頭拒否を続けた場合、逃亡又は罪証隠滅のおそれといった逮捕が認められるための要件に該当すると判断されるおそれがあります。

​​ したがって、捜査機関が指定した日時に出頭ができない場合には、捜査機関に具体的に理由を伝え、加えて弁護士に依頼している場合には弁護士が窓口となって出頭日時の調整を行う旨を捜査機関に説明するなどの対応が必要であるといえるでしょう。

​​警察から連絡が来たら

​​ ​​警察から電話で連絡が来たり、警察が自宅に訪問してきたりした場合、何らかの犯罪を犯したという自覚がある場合だけでなく、何らかの犯罪を犯したという自覚がなくても、実は何らかの事件の被疑者として疑われていることもあり、無視せず状況に応じた対応をすることが必要となります。 ​​

​​対応方法にお困りの場合は弁護士に相談するとよいでしょう。

証拠の即時確保

アリバイとなる証拠

​​犯行当時、犯行に及ぶことが物理的に不可能であったことを裏付ける証拠については、防犯カメラと携帯電話が重要です。

​​また、交通系ICカードの利用履歴によって、被疑者や関係者の行動を裏付けることができる場合もあります。

​​防犯カメラ

​​防犯カメラについてはまずは、防犯カメラ管理者に対し、任意での開示を求めます。 見せてもらえるかどうかは相手次第であり、警察署や裁判所からの求めなら見せるが弁護人には見せられないという対応をされることも多いですが、協力的な相手なら見せてくれることもあります。

​​防犯カメラ映像の保存期間は1週間から10日程度のものが多いため、任意で開示してもらえなかった場合には、「後日裁判所や捜査機関から見せてほしいと依頼が来る可能性があるため、いついつの映像を消去せずに保存しておいてほしい」といったように映像の保存を依頼しておくことが必要です。

​​その上で、刑事訴訟法179条1項に基づき、証拠保全請求を行うことになります。​​

​​携帯電話

​​ 携帯電話については、被疑者・関係者等が持っている携帯電話端末に記録されているLINEやメール等のデータを別のメディアにコピーしたり、画面に表示させてデジカメで撮影する等の方法で証拠を保全することが考えられます。

​​また、携帯電話の通話先電話番号、通話開始番号、通話終了日時等のデータは、各携帯電話会社が契約者本人に対して発行する通話明細に記載されています。

​​いつまで遡って発行してもらえるかは携帯電話会社によりますが、契約者本人から直接携帯電話会社に請求することができます。

​​携帯電話会社のサーバーに保存されたデータの保存期間は各携帯電話会社により違いがあり、概ね2、3か月から6か月程度とされますが、証拠保全の必要性があれば直ちに証拠保全請求をすることが重要です。

弁護士に依頼されると

・告訴取消し・被害届の取下げ

​​被害者が存在する事件では、示談の成立が不起訴処分の大きな考慮要素になります。 親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪)であれば、示談成立に加えて告訴が取り消されれば不起訴になりますが、捜査機関に告訴取消書の原本を提出する必要があります。

​​したがって、親告罪の場合は被害者と示談交渉をして告訴を取り消す旨の条項を示談書に入れた上、示談書と別に告訴取消書にサインをしてもらう必要があります。

​​親告罪でない場合、被害届の取下げをしてもらえれば、不起訴処分の可能性を高める有力な事情の1つとなります。

​​・早期依頼の重要性

​​不起訴処分を狙うには、起訴される前に示談を成立させることが重要です。 勾留されている事案では、10日間ないし20日間という限られた期間がタイムリミットとなります。 示談交渉が長期化する場合も想定し、早期に弁護士に依頼するとよいでしょう。

​​また、依頼を受けた弁護士は、示談状況等を踏まえ、終局処分(最終的な処分)の前に検察官に対し、不起訴相当である旨の意見書を提出します。

虚偽告訴罪と名誉毀損

虚偽告訴罪

​​以下のような場合、虚偽告訴罪で相手を刑事告訴をすることが考えられます。 ​​

​​・被害者が、その事件の犯人はXであると思っていたにもかかわらず(実際の真犯人もX)、Yに刑事処分を受けさせる目的で捜査機関に対し、「犯人はYである」と申告した場合で、Yが無実であることが証明された場合 ​​

​​・実際は痴漢の事実はないにもかかわらず、被害者を装った人物が示談金目当てに捜査機関に対し、「犯人はYである」と申告した場合で、Yが無実であることが証明された場合 ​​虚偽告訴罪が成立するには、申告内容が客観的真実に反していることが必要です。 ​​

​​例えば、前記の例で、被害者が、その事件の犯人はXであると思っていたにもかかわらず、Yに刑事処分を受けさせる目的で捜査機関に対し、「犯人はYである」と申告した場合で、実際の真犯人がYである場合、虚偽告訴罪は成立しません。

​​また、虚偽告訴罪が成立するためには、主観的要件として、刑事処分を受けさせる目的に加え、故意(申告内容が虚偽であるという認識)が必要です。

​​民事上の損害賠償

​​身に覚えのない罪で身体拘束を受けたり、取調べを受けたりすること等により、精神的苦痛を被った場合、民事上、冤罪の加害者に対して、不法行為(民法709条)に基づいて、慰謝料請求をしていくことが考えられます。

​​また、経済的な損害を被った場合は、同様に不法行為に基づいて損害賠償請求をしていくことが考えられます。

家族・職場・学校に知られず解決できる?

・職場

​​逮捕後、勾留が決定するまでの期間が1~3日あり、勾留された場合は、さらに最短10日間、最長20日間の身柄拘束が続いてしまう可能性があります。

​​逮捕された場合には、無断欠勤とならないよう、職場に対し、弁護人や家族から早期に欠勤理由を伝える等、勤務先との関係の調整が必要になります。

​​職場に連絡した際に事件のことを聞かれた場合にどこまで話すか、現時点でどこまで話すか等については、接見の際に弁護人と話し合って決めておくとよいでしょう。

​​逮捕・勾留されてしまった場合に仕事はどうなるかについてはこちらの記事を是非ご覧ください。

逮捕されてしまったら仕事はどうなる?

​​勾留請求される前に示談を成立させることができた場合、勾留を回避できる可能性が高くなり、長期の欠勤を回避できる可能性も高くなります。 ​​

​​・学校

​​ 児童・生徒の場合には、無断欠席とならないよう、学校に対し、弁護人や家族から早期に欠席理由を伝えることが必要になります。

​​ 児童・生徒の場合、​​学校・警察相互連絡制度(警察が認知した児童・生徒の事件を学校に通知するための協定)により、逮捕されたことが学校に知られる可能性がありますが、事案の重大性,反省の程度、被害者と示談が成立しているかどうか等の総合的判断により,警察は学校へ連絡するかどうかを決めることになります​​。

​​ ​​・家族

​​ 身元引受人が必要な場合、同居の親族が身元引受人となることが一般的ですが、友人・知人・恋人、勤務先の同僚・上司なども、被疑者を監督できる人物であると捜査機関や裁判所から評価される関係にある場合には身元引受人となることが可能です。 ​​

​​家族を身元引受人とすることは、家族に事件のことを知られてしまう反面、逮捕や勾留のリスクを下げる、早期釈放につながる場合もあるといったメリットもあることから、家族の協力を得た方がよい場合もあります。

よくある質問

相手と示談してもいい?

​​ 被害者に対して直接謝罪したい、示談交渉をしたいと連絡を取ることは、被害者の恐怖心を強めたり、被害感情を逆なでしてしまう可能性が高いです。 また、当事者同士で示談交渉をする場合、被害者が提示してきた示談金額が適正かどうかはわからないものと思います。

​​したがって、当事者同士で示談交渉を行うことは危険です。

​​弁護士に依頼し、示談交渉を進め、実際に示談ができることになった場合には、適正な示談金額がいくらか判断したり、必要な条項が網羅されている法的に不備のない示談書を作成したりすることが可能となります。

不起訴になったら何が残る?(前科・前歴の違い)

​​ 不起訴処分となれば前科はつきませんが前歴はつきます。 前科とは、起訴され、有罪判決を受けてその有罪判決が確定したことをいい、前歴とは、捜査の対象になったものの、最終的に不起訴処分となったことをいいます。

​​したがって、前科と前歴は、起訴され、有罪判決を受けたかどうかという点に違いがあります。

​​また、前科の場合と異なり、前歴の場合、法律上の不利益は予定されていませんが、前歴がついたうえで新たに事件を起こした場合、前歴がない場合と比べて不利な処分を受けるリスクがあります。

任意同行を拒否できる? 拒否後のリスクは?

​​任意同行は拒否することができます。

​​しかし、任意同行は逮捕の直前の段階で求められることも多いため、任意同行に応じないことを理由に、逃亡又は罪証隠滅のおそれといった逮捕が認められるための要件に該当すると判断されるリスクがあります。

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