弁護士 加藤純介からのご挨拶と,不貞慰謝料に関する近時の最高裁判例
平素は格別のご高配を賜り,厚くお礼申し上げます。
弁護士の加藤純介です。
今回のコラムでは,不貞相手への慰謝料請求についてお話させていただきます。
その前に,大垣支所コラム初投稿ということもあり,私からまずはご挨拶と自己紹介をさせていただきます。
私は愛知県で生まれ育ち,学生時代を東京で過ごした後,生まれ育った地元で市民の方々に寄り添える弁護士になりたいとの思いから,弁護士法人愛知総合法律事務所に入所致しました。
大垣に異動してから交通事故,離婚,相続,お金の貸し借り,その他・・・と非常にたくさんのご相談をいただき,ご依頼をいただいております。
さて,本日は,その中でも相談の多い,配偶者の不貞相手に対する慰謝料請求について取り上げてみたいと思います。
これに関しては最近,最高裁判所が新たな判断を示したところなので,ぜひご確認ください。
①前提として,不貞相手に対する慰謝料請求とは?
配偶者が不貞行為を行った場合には,不貞行為を行った配偶者に対して慰謝料請求をすることができます。これは,民法という法律の709条に根拠があります。
そして,不貞相手に対しても,不貞相手が浮気した配偶者が既婚であることを知っていた,といった条件を満たせば,同様に慰謝料請求をすることができます。
②今回の最高裁判例の内容とは?
上に述べたとおり,配偶者の浮気相手に対しては,もともと不貞慰謝料を請求することができます。
今回の最高裁判例が判断したのは,『不貞相手に対して離婚に伴う慰謝料を請求することはできない』ということです。
一見矛盾するようで違いが分かりにくいですが,
・既婚者と浮気をした第三者は,婚姻生活の平穏を害した(浮気をされた配偶者は婚姻生活の平穏を害された)ことを理由として,損害賠償義務を負う。
・ただし,離婚したことによる精神的苦痛についてまで,浮気した第三者が損害賠償義務を負うのかどうかは,最高裁判例上は明らかでなかった。
という状況でしたが,2点目について,最高裁判例は明確に否定したことになります。
③最高裁判例が今後の実務に与える影響
今回の最高裁判例により,不貞行為を行った第三者に対する慰謝料請求が行いづらくなる,慰謝料金額相場が今後減額される可能性がある,といった実務への影響が考えられます。
これらの点については現時点では明らかでありませんが,今後の影響について注視していく必要があると思われます。
民法は120年ぶりとも言われる大改正を控えており,裁判実務は常に変化しています。
大垣事務所は現在2人で運営しておりますが,弊所全体で弁護士は37名おり,それぞれの経験を共有するとともに,常に最新の法律・判例のフォローに努めております。
些細なことでもまずは一度ご相談ください。大垣所員一同お待ちしております。