闇バイトと知らなくても逮捕?受け子・出し子について弁護士が解説

ご相談窓口

06-6786-8643

受付時間 平日 9:30から17:30まで

アクセスマップ

ご相談窓口

06-6786-8643

受付時間 平日 9:30から17:30まで

アクセスマップ

アクセスマップアクセスマップ
ご相談はこちらご相談はこちら
弁護士コラム Column

闇バイトと知らなくても逮捕?受け子・出し子について弁護士が解説

2023年09月01日
大阪心斎橋事務所  弁護士 鈴木 嘉津哉

はじめに

昨今、「ルフィ」を名乗る男が、詐欺、窃盗、強盗などの犯罪を実行する者を集め、実際に各犯罪を行わせたという事実で逮捕されたというニュースが流れ、いわゆる「闇バイト」が社会問題として取り上げられています。

この「闇バイト」とはどのようなものなのか、どのような方法で人を集めて犯罪に及ぶのか、そして、実際に犯罪を行った場合には何罪に問われるのかなどといった点について解説していきます。

「闇バイト」とはどのようなものなのか?

一言で「闇バイト」といっても、その種類は、通常のアルバイトと同じように様々なものがあります。 

​​代表的なものでいえば、「〇〇という人の家に行って、紙袋を受け取り、それを指定の場所で別の人に渡してほしい。」などといったものです。 

​​あくまで違法ではない(グレーなもの)といって募集をしているものもあれば、強盗団のように、明らかに違法なものであると分かりながら人を集め、空き巣や強盗などを行うといったものもあります。

これらの「闇バイト」は、実際に行う行為に比して不自然に報酬が高額であったり、雇い主の顔や組織の実態が全く分からず、SNS等でやり取りをするだけであったりなど通常の仕事と比べておかしいと感じる点が多いことが特徴です。

どのような手段で「闇バイト」の募集が行われるのか

「闇バイト」は、違法な行為をするものなので、通常の求人情報誌などに掲載されているというケースはあまり多くはなく、SNSやネット掲示板、人づてなどの方法で募集を行うというケースが多いです。

SNS等で募集をする際には、「高額報酬」などといった人目を引く文言を使ってまずは連絡をさせ、仕事の詳細はSNSのダイレクトメールや通話アプリ等を使って説明をするといった方法が多いです。

「闇バイト」は何罪になる?

「闇バイト」で実際に行った行為が何かにもよりますが、他人の家へ行って現金やキャッシュカードを受け取るという「受け子」や、受け取ったキャッシュカード等を使ってATMでお金を下すという「出し子」には、詐欺罪や窃盗罪が成立する可能性があります。 

​​また、自分が直接「受け子」や「出し子」としての行為をせずに、受け子や出し子を誘ういわゆる「リクルート役」であったり、受け子や出し子から現金を預かって別の人に渡したりする「現金回収役」等も、「共犯」として同じく詐欺罪や窃盗罪に問われる可能性があります。

このほか、他人の家に入って物を盗って行けば住居侵入罪、窃盗罪が成立しますし、その際に人に暴力を振るうなどして強奪すれば強盗罪が成立する可能性があります。 

​​さらに、ATMから現金を引き出すのではなく、別の預金口座へ送金した場合には、電子計算機使用詐欺罪、他人のIDやパスワードを使って他人のアカウントにログインし、送金や物の購入等をすれば不正アクセス罪など、様々な罪が成立する可能性があります。

闇バイトと知らなかったとしても逮捕される可能性はある?

罪が成立するためには、自分の行っている行為が犯罪になることを認識し、それでもかまわないと考えた上でなければいけません(犯罪の故意)。 

​​しかしながら、この故意は、具体的に何罪になるのかといったことまでは故意の内容として要求されていません。 

​​簡単に言えば「なにか怪しい仕事なのではないか」「警察にバレたらまずいものなのではないか」といった程度の認識でも故意の内容として十分であると判断されてしまう可能性があります。 

​​また、起訴されるかどうかという点はさておき、闇バイトをしていることが発覚した時点で、逮捕はされてしまうといった可能性は十分にあります。

闇バイトから抜け出すために弁護士として出来る事

闇バイトから抜け出し、出頭をすること

多くの闇バイト組織は、実際に仕事を始める前に、バイト応募者の免許証やマイナンバーカードの提示を求めてきたり、実家の住所や家族の情報を求めてきたりといったことをしてきます。 

​​これにより、犯罪だと気づいて組織から抜けようとしても、本人や家族に危害を加えるなどと脅されて、結局犯罪に加担してしまうといったケースが見られます。 

​​このことから、もし、闇バイトに応募してしまった場合には、実際に犯罪を行う前に警察へ相談、出頭をするということが考えられます。 

​​警察への出頭について、弁護士が付添をするということも可能です。

被害者に対して被害弁償等を行うこと

闇バイトを行ってしまい、被害者が既に出ている場合には、被害者に対して被害弁償をすることが考えられます。

​​被害者に対しては、本来、闇バイトを行った人だけではなく、闇バイトに関わった組織の全員が被害者に対してその損害を賠償する責任を負いますが、被害者は、全員にそれぞれ被害額全額の請求することができます。

​​共犯者の一人が被害額全額を弁償した場合は、あとは共犯者間でその割合に応じて求償をしていくことになります。

そして、被害額のうちどれだけの弁償をすることができたのかというのは、その後の刑事処分、量刑に直結するので、被害弁償をどれだけすることができるのかというのは非常に重要なポイントになります。

​​弁護士としては、被害者に対する被害弁償、示談ができるように交渉をしていきます。

取調べ対応に関するアドバイス

闇バイトのような組織犯罪では、各自の役割、利益の分配等が処分や刑の重さを決める上で重要になりますが、これらの点を立証するためには、各自の供述が重要になります。

​​この点、記憶が曖昧な部分や分からない部分について、取調べで認め、間違った供述調書が作成されてしまうと、後になってそれを覆すというのが難しくなってしまいます。

​​このことから、取調べにおいて、間違った供述調書が作成されないように、弁護士として適切なアドバイスをさせていただきます。

まとめ

闇バイトといっても、これまでの解説のとおりその態様は様々であり、自分があまり意識していない間にいつの間にか重大犯罪に加担してしまっていたというケースがあり得てしまいます。   

​​そのような場合には、自分ができることをいち早く行い、それ以上犯罪に加担しないようにすることが重要です。   

​​どのような対応をすればよいか分からない、そもそも自分が行っている行為が犯罪なのかどうか分からず不安、などというときには、遠慮することなくまずは弁護士に相談することをお勧めします。

  • はてなブック
  • LINE
  • Pocket

この記事の著者

関連記事