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弁護士コラム Column

財産分与と離婚時の慰謝料の決め方

2022年12月27日
春日井事務所  弁護士 深尾 至

「夫の浮気が発覚した・・・」「夫からのDVに耐えられない・・・」 このような理由で夫との離婚を考えている方の中には、離婚の際に財産分与はもちろん、慰謝料の請求もしたいと考えている方もいらっしゃるかと思います。 そこで、今回は、慰謝料と財産分与について、いくつかの観点から簡単に解説してみたいと思います。

離婚の際に慰謝料と財産分与は両方とも請求できる?

結論から申しますと、離婚の際に慰謝料と財産分与を両方とも請求できる場合もあります。

​​ 夫が離婚原因を作って離婚する場合、その夫は、自らの言動により妻(あなた)が離婚せざるを得ない状態を作り出したことになりますので、その離婚原因がなければ離婚しないで済んだ妻(あなた)に対し、離婚に伴う慰謝料を支払う必要があります。

​​ つまり、離婚に伴う慰謝料は、夫が離婚原因を作って離婚する場合に請求できます。破綻原因の典型的なものは、浮気やDVです。

一方で、財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産が、原則として夫婦が協力して形成したものであると、この財産は、夫婦の共有ということになり、離婚に際し、その共有財産をどのようにするのかを決めなければならず、この点を処理する手続です。

​​なお、財産分与の法的性質や請求権の内容については様々な考え方がありますが、財産分与には、一般には、共有財産の清算、離婚後の扶養、離婚に伴う慰謝料といった要素が含まれると考えられています。

財産分与のうち共有財産の清算といった要素(「清算的財産分与」といいます。)について、現在の家庭裁判所の実務では、夫婦が婚姻中に形成した財産は、それがいずれかの特有財産であることが明らかでない限り、原則として夫婦が協力して形成したものであり、かつ、形成についての寄与や貢献の度合いも、原則として平等であるとして扱い、夫婦は、形成した財産に対して相互に2分の1の権利を有するものとして扱うこととされています。​​

つまり、少なくとも清算的財産分与は、夫婦が協力して形成した財産が存在する場合に、その財産の形成についての妻(あなた)の寄与や貢献の度合い(原則として2分の1)に応じて請求できるものであって、夫が離婚原因を作って離婚するか否か(=離婚に伴う慰謝料を請求できるか否か)は、清算的財産分与を請求できるか否かには直接的にはかかわりがありません。

財産分与と慰謝料の関係

既に述べたとおり、離婚に伴う慰謝料を請求できるか否かは、清算的財産分与を請求できるか否かには直接的にはかかわりがありません。

​​一方で、財産分与については、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、その額及び方法が定められるところ(民法768条3項)、ここで考慮されるべき事情の中には、離婚に伴う慰謝料の支払義務の発生原因となる事情も含まれることから、財産分与に離婚に伴う慰謝料を含めて考えることができるとされており、この意味において両者は全く無関係ではないともいえます。

離婚に伴う慰謝料の相場はいくらぐらい?

離婚に伴う慰謝料は、離婚原因について責任がないものが離婚せざるを得なくなったことにより受ける精神的苦痛を慰謝するものであり、一般に、その額は、以下のような事情を考慮して算定されると考えられます。

① 夫婦関係が破綻に至る経緯
​ ② 離婚原因に対する夫婦双方の責任の程度
​ ③ 夫婦関係が破綻に至るまでの婚姻生活の状況
​ ④ 婚姻期間
​ ⑤ 子に対する影響の有無

慰謝料の請求もしたいと考えているあなたにとって、離婚に伴う慰謝料の相場は大きな関心事でしょうが、離婚に伴う慰謝料は、個別性が高く、例えば、同程度の婚姻期間の夫婦であっても、その他の事情によっては結論が大きく変わる可能性もあるものであり、残念ながらはっきりとした相場は示しにくいものです。

​​離婚手続を代理する弁護士としては、従来の裁判例等をまとめた文献や、家庭裁判所の統計数値等を参考に、請求する慰謝料として適正な金額を検討することが多いかと思います。

慰謝料と財産分与はいつ請求するの?

離婚に伴う慰謝料は、離婚に際して請求することもできますし、離婚後に請求することもできます。

​​ただし、離婚後に請求する場合には、離婚後、3年以内に請求しないと慰謝料請求権が時効消滅してしまいますので、注意が必要です。  

​​離婚原因が浮気である場合には、夫の他、浮気相手に対しても慰謝料が請求できる場合があります。

​​この場合、請求の時期(離婚に際して請求するのか、離婚後に請求するのか)や請求の順序(夫に対して先に請求するのか、浮気相手に対して先に請求するのか、双方に対して同時に請求するのか)をどうするのが望ましいかはケースバイケースだといえますので、この点に関する検討も必要となります。

慰謝料の請求の時期について、一般に、離婚原因を作った夫が離婚を望んでいるケースでは、離婚前にこそより高額な慰謝料を支払う動機付けが働きやすいといえますので、離婚後に慰謝料を請求するのではなく、離婚に際して慰謝料を請求するのが得策であることが多いように思われます。

財産分与も、離婚に際して請求することもできますし、離婚後に請求することもできます。ただし、離婚後に請求する場合には、離婚後、2年以内に請求する必要があります(民法768条2項ただし書)。

財産を調べるには?

既に述べたとおり、少なくとも清算的財産分与は、夫婦が協力して形成した財産が存在する場合に、その財産の形成についての妻(あなた)の寄与や貢献の度合いに応じて請求できるものですが、夫婦が協力して形成した財産で夫名義になっているものが存在するか否か、はっきりしない場合もあると思われます。

例えば、夫名義の預貯金があるにもかかわらず、夫がその預貯金を開示しない場合には、金融機関が特定されていることが必要となりますが、弁護士会による照会手続(弁護士法23条の2)や家庭裁判所の調査嘱託手続等により、金融機関から預貯金情報の開示を受けることができる場合があります。

おわりに

ここまで、慰謝料と財産分与について、いくつかの観点から簡単に解説してみました。

​​とりとめのない内容となりましたが、夫との離婚を考えている方のご参考となれば幸いです。

​​この記事をお読みいただくだけでは解消できなかったご不明点・ご不安もあろうかと存じますが、そのような場合には、是非、当事務所の法律相談をご利用いただき、お話をお聞かせください。

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この記事の著者

深尾 至

弁護士

深尾 至(ふかお いたる)プロフィール詳細はこちら

春日井事務所

所属弁護士会:愛知県弁護士会

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