交通事故における「過失」とは?
2022年03月07日
名古屋新瑞橋事務所
弁護士 佐藤 康平
交通事故においては、しばしば、「過失の有無」や、「過失割合」「過失相殺」が問題となります。
では、そもそも、交通事故における「過失」とは、どのようなことを意味しているのでしょうか。
日常用語としての「過失」は、おそらく、不注意であることを意味しているように思います。
しかし、交通事故における「過失」とは、そのような日常的な意味での「過失」ではありません。
交通事故における「過失」とは、ざっくり言うと、
① 交通事故が発生することを予見でき(予見可能性)
② その発生を回避することができたにもかかわらず(結果回避可能性)
③それを回避するための行動を怠った(結果回避義務違反)
ことであると考えられております。(所説はあります。)
こう書くと複雑なように見えますが、具体的な例でみていくと、分かりやすくなるかと思います。
例えば、交差点での出会い頭の事故について、
① 交差点において左右から自動車が進行してくることは、普通にあり得ることなので、当然予見できるはずである
② 予見できる以上、交差点に進入するにあたっては、左右を十分に注視して適切な速度で進行し、あるいは停止する等すれば、事故を回避することは可能であった
③ にもかかわらず、そのまま進行した結果、衝突してしまった
と考えると、過失が認められることになります。
なお、もちろん、出会い頭の衝突であれば全てこうなるわけではなく、個別具体的な事情によります。
ですので、上記はあくまで一例としてご理解下さい。
交通事故における過失は、概ね、上記のような判断過程をたどっています。
そうしますと、単に、
「相手方がぼーっと走行していたからだ!」
とか
「相手方が不注意だったんだ!」
とかいうだけでは、過失の主張としては不十分であるということになります。
法的に、予見可能性と結果回避可能性を前提として、結果回避義務に違反したから、「過失」が認められるのだ、と説得的に主張をする必要があります。
交通事故の過失でお悩みの方は、ぜひ、愛知総合法律事務所にご相談下さい。
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