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弁護士コラム Column

共働き夫婦の財産分与の決め方

2022年08月30日
津事務所  弁護士 森下 達

財産分与

夫婦が離婚する場合に取り決めるものの一つに財産分与があります。 財産分与という言葉は知っていても、具体的にどのような内容の手続きがは分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

​​また、財産分与には、その性質から、①清算的財産分与、②扶養的財産分与、③慰謝料的財産分与があると言われていますが、今回は清算的財産分与についてお話しいたします。

清算的財産分与 (財産分与の対象)

清算的財産分与とは、夫婦が離婚する際に夫婦共有財産を清算することを内容とするものです。夫婦共有財産とは、夫婦が婚姻生活中に共同で形成した財産をいいます。そのため、夫婦の一方が婚姻前から有していた財産は原則として財産分与の対象とはなりません。

​​また、夫婦の一方が婚姻中に「相続」によって取得した財産も、「共同」で形成した財産ではないため原則として財産分与の対象とはなりません。

​​そして、離婚する夫婦は事前に別居していることも少なくありませんが、夫婦が婚姻中であっても別居後に形成した財産も、やはり「共同」で形成した財産とはいえないため、原則として財産分与の対象とはなりません。

財産分与の割合

財産分与の割合は、例外的場合を除き、原則として2分の1です。これは、夫婦の一方が専ら家計の収入を稼ぎ、他方が専ら家事を担う場合(いわゆる「専業主婦」や「専業主夫」の場合)であっても、財産分与の割合は原則として2分の1です。

​​また、夫婦共働きであり、双方の収入に大きな差がある場合でも、財産分与の割合は原則として2分の1です。

これは、それぞれの夫婦の家庭内での役割として、主として働いて収入を得る役、主として家事を担う役という役割分担に過ぎず、余程の例外的場合を除き、夫婦双方の家計への貢献度は2分の1と考えるのが相当であることからすれば、当然の結論になると思います。

時々耳にする言葉として、「誰のおかけで飯が食えると思っているのか。」というものがありますが、言い返すならば、「誰のおかげで元気に働きに行けてると思っているのか。」とでもいうのでしょうか。

もっとも、収入を得ている当事者が、もっぱらその個人に特有の技能・才覚によって収入を得ているような場合には、財産分与の割合が2分の1にならないこともあります。

​​これは、収入の前提となっている特殊な技能・才覚を育んできた期間が、その多くは婚姻前であったりすることから、財産を「共同」で形成したとは言い難いことなどが理由とされます。イメージとしては、スポーツ選手が想像しやすいかと思います。

このように、ごく一部の例外的な場合を除いては、夫婦共有財産に対する夫婦の貢献度は2分の1ずつというべきでしょうから、夫婦の双方に収入の差がある場合であっても財産分与の割合は2分の1というべきでしょう。

退職金と財産分与

これまで、財産分与は夫婦が「共同」で形成した財産を清算するものと説明してきましたが、次のような場合はどう考えるべきでしょうか。

【事案】

夫は50代の会社員で、妻は50代の専業主婦です。夫婦仲はお世辞にも良いとは言えず、夫婦ともに10年ほど前から離婚を考えていたものの、未成年の子がいたため離婚には踏み切れませんでした。

​​しかし、現在は、子が成人し、また就職して自宅を出て行ったため、夫婦が離婚に踏み切れなかった事情は解決されました。

​​夫と妻は離婚協議において財産分与の話し合いも行いましたが、夫は「まだもらっていない退職金は財産分与の対象にはならない。」と主張し、妻は「退職金も財産分与の対象になる。」と言って譲りません。

​​このような場合に退職金は財産分与の対象となるのでしょうか。

退職金は退職時に支払われるものですので、夫はまだ会社を退職していないため、夫には退職金は支払われていません。そのため、婚姻中に支払われていない退職金が財産分与の対象になるのかが上記事案では問題になっています。

この問題を考えるにあたって、退職金の性質を説明しますと、日本の現在の給与制度において、退職金は給料の後払い的な性質を有していると言われています。

​​退職金の性質が給与の後払いなのであれば、その基礎となる労働は婚姻期間中になされているため、退職金は夫婦が「共同」で形成した財産ということになります。

​​そのため、基本的には退職金も財産分与の対象になると考えられます。

​​もっとも、退職金はまだ支払われておらず、夫が退職する際に実際に支払われるかも不明であり、その点の考慮は必要になります。そこで、実務上では、退職金が支給される確実性から判断されることになります。

​​その判断基準としては、

​①就業規則等への退職金の定めの有無
​②退職金の算定方法の明確性
​③会社が倒産するリスク
​④退職時までの期間

​​といったものがあげられます。

​​このような判断基準から退職金が支払われると判断される場合には、退職金も財産分与の対象となります。

もっとも、退職金も夫婦が「共同」で形成した財産であるために財産分与の対象となるのですから、財産分与の対象となる財産分与の金額は、「離婚時(もしくは別居時)の退職金の金額」-「婚姻時の退職金の金額」ということになります。

財産分与をしない場合

これまで財産分与をする場合の話をしてきましたが、これに対して、夫婦が離婚するに際し財産分与をしないことはあるのでしょうか。

財産分与は合意によって成立するものですので、夫婦が合意によって財産分与を行わないこともあるでしょう。

​​また、財産分与には2年間の期間制限(法律用語としては「除斥期間」といいます。)もありますので、期間内に財産分与の請求をしない場合には、後に財産分与の請求をすることはできなくなります。

また、婚姻前に夫婦財産契約(「婚前契約」や「プレナップ」とも呼ばれます。)を締結しておくことで、離婚時に財産分与をしないことを定めておくこともできます。この夫婦財産契約は、婚姻前に締結しておく必要があります(民法755条)。

​​これは、単に夫婦が別財布というだけで適用される制度ではありませんので、注意が必要です。

まとめ

以上のとおり財産分与について説明してきましたが、まとめますと、夫婦が共働きだろうが、収入に差があろうが、専業主婦(主夫)だろうが、それは家庭内の役割分担の差に過ぎず、家庭への貢献度は同じであることから、財産分与の割合は原則として2分の1ということになります。

​​個人の特殊な技能・才覚によって高収入を得ている場合には例外的な場合もありますが、これはごくごく例外的なものにすぎません。そのため、夫婦が共同で形成した財産は2分の1ずつ分けると理解しておけば、ほとんどの場合で問題ないでしょう。

また退職金はまだ支払われていない場合には、財産分与の対象になるのか判断が難しい場合もありますが、退職金規定があり、その計算方法が明確である場合には(多くの場合には会社に問い合わせれば、会社が計算してくれます。)、「離婚時の退職金額」-「婚姻時の退職金額」を基準に考えることになろうかと思います。

​​財産分与の計算について、夫婦での話し合いが進まない場合には、一度弁護士にご相談ください。

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