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弁護士コラム Column

離婚後の養育費の請求

2022年11月02日
四日市事務所  弁護士 西村 綾菜

当ブログを訪れる方の中には,元配偶者ととりあえず離婚して,その時には養育費を払ってもらう合意をしなかったけれども,その後一人で子を養育することが大変で,あの時きちんと養育費の取り決めをしておけばよかった・・・と後悔されている方がいらっしゃるかもしれません。

今回は,離婚後に行う養育費の請求について,ご説明致します。

離婚後に養育費を請求することはできるのか?

養育費の根拠

結論から申し上げますと,原則,離婚後でも養育費を請求することができます。

​​
養育費の根拠は,親が子どもに対して「扶養義務」を負っていることにあります。

​​子どもが経済的・身体的に自立して生活できるようになるまでの間,親は扶養義務に基づいて子どもの生活費を負担しなければならない,それが養育費の考え方です。

そうすると,養育費は,親が親である以上,当然に子どもに対して分担しなければならないものということができます。

仮に夫婦が離婚して,その時に養育費の取決めをしなかったとしても,親にとって,それが自分の子どもであることには何ら変わりがないはずです。そうである以上,仮に離婚時に養育費の取り決めをしなかったとしても,それは何ら問題にはならず,離婚後に養育費を請求することができるということになります。

養育費はいらないと言って離婚した場合はどうなる?

それでは,夫婦の間で離婚する際に,養育費なんていらない!と言ってしまった場合はどうなるでしょうか。

養育費は,簡単に言えば,子どもの扶養義務を両親でどのように分担するかという問題ですので,まずは話し合って決めるべきものです。

​​したがって,離婚する際に夫婦で分担方法を取り決めたのであれば,原則その合意は有効であり,養育費を請求しない旨の合意も有効となり得ることになります。

もっとも,それが有効であるというためには,その合意が真意に基づいて確実に成立したといえることが必要です​​。

​​真意に基づいていたとは到底考えられない事情が存在していた場合には,一見そのような合意があるようにみえても,養育費の請求が認められる可能性があります。

また,仮に,養育費は請求しない旨の合意が真意に基づくものであったとしても,その当時にはとても予測できないような事情変更がその後生じた場合には,請求が認められる場合があります。

養育費は,あくまで子どもの健やかな成長のために支払われるべきものでありますから,養育費は請求しないという合意をした時点では想定していなかったような経済状況の変化等があり,子どもの生育に著しい支障をきたすようになった場合などには,養育費の請求が認められる可能性があるのです。

ただ,いずれにしても養育費の請求権を放棄することは,子どもの健やかな成長にとって全く望ましいことではありませんので,辛くても一時の感情に流されることなく,必要であれば弁護士の力を借りるなどして,養育費の話合いをしていくことが重要であるといえます。

なお,両親が養育費の請求を放棄する旨の合意をしても,子ども自身はこの合意には拘束されませんので,子どもから親に対し生活費を請求することができます。

養育費は遡って請求できるの?

それでは,離婚時に養育費の取り決めをしないまま長年放置してしまった場合,遡って養育費を請求することはできるのでしょうか。

確かに,養育費の分担義務が親の扶養義務に基づくことを考えれば,元配偶者が親である以上,どこまででも遡って請求できるような気がしてきます。

​​しかし,支払い義務者の立場で考えると,養育費の取決めを何らしていなかったにもかかわらず,後から何年分もまとめて請求されてしまっては,それも困ってしまうといわざるを得ません。

そういった理由で,実務上養育費は,明確に相手方に請求した時以降の分が認められるということになっています。

例えば,養育費調停や審判の申立てを行った場合や,内容証明郵便で明確な請求を行った場合などに,ようやくそれ以降の部分が認められ得るということになりますので,どこまででも遡って請求できるというわけではないことに注意が必要です。

もちろん,養育費は既にご説明したとおり,原則話し合って分担方法を決めていくべきものですので,相手方が遡って支払うことに同意した場合には,問題なく遡ることができるということになります。

離婚後再婚した場合

親権者側が再婚した場合

それでは,こういった場合はどうでしょうか。養育費の取決めをしないまま離婚後長い時間が経過し,その間頑張って子どもの面倒を一人でみてきたが,この度別の相手と再婚することになった,というようなケースです。

このような場合,その結論は,前の配偶者との間の子どもと自身の再婚相手とが養子縁組をするか否かによって変わってくることになります。

当然,こちらが再婚したとしても,前の配偶者が子どもの親であることには変わりありませんので,養育費の分担義務は負い続けるのが原則です。

しかしながら,前の配偶者との間の子どもと再婚相手とが養子縁組をした場合,第一次的にはその再婚相手が子どもに対し扶養義務を負うことになり,前の配偶者の扶養義務は二次的なもの(足りないときに補うという程度のもの)に変わりますので,基本的には前の配偶者に対しては養育費を請求できなくなります。

親権者ではない側が再婚した場合

もちろん,親権者でない元配偶者が再婚した場合であっても,元配偶者が子どもの親であることには変わりありませんので,養育費を請求することができます。

もっとも,その場合元配偶者は,その再婚相手に対しても扶養義務を負うことになり,例えば再婚相手に働くことのできない事情があるといった場合には,元配偶者は再婚相手の生活費も負担しなければならない状態に置かれることになります。

また,元配偶者がその再婚相手との間に新たに子どもをもうけているような場合には,当然その子どもに対しても元配偶者は扶養義務を負うことになりますから,元配偶者はその時点でたくさんの被扶養者をかかえている状態となります。

そのような場合には,その時の状況に応じて,離婚時に算定されるはずであった養育費の額とは異なる額の算定がされることになりますので,注意が必要です。

離婚後に養育費を請求する方法

それでは,離婚後に養育費を請求する場合の流れを整理しましょう。

基本的には,離婚時に取決めをする場合と同様の流れで請求を行っていくことになり,
​①元配偶者との協議,②協議が調わない場合には養育費請求調停(審判)の申立てという流れで進めていくのが一般的といえます。

本来子どもの養育に関することは,親同士で話し合って決めるべきことですので,自発的な協議によって決められるのが理想ではあります。

​​しかし,離婚後時間が経っているような場合にはなおさら,このように当事者だけで話し合って決めることが難しくなっている場合が多くありますので,裁判所の手続を活用していくことも手段として検討するのがよいと思います。

また,前述のとおり養育費は,明確に請求した時以降の部分のみ遡って請求することができるとするのが実務上の考え方ですので,請求すると決めた場合にはなるべく早く動くべきです。

特に,離婚後長い間元配偶者と連絡を取り合っていないような場合には,元配偶者の連絡先が分からなくなってしまっていることがよくあり,自分で請求することが難しい場合も多くありますので,そのような場合には速やかに弁護士に相談し,所在調査を試みるのが良いでしょう。

養育費の未払いを防ぐには

以上のとおり,離婚後でも養育費を請求できるケースが多くありますので,お子さんの健やかな成長のためにも,そのままにしないことが重要であると思います。

ただ,せっかく離婚後に立ち上がり,元配偶者と養育費の合意ができたとしても,その時の合意内容が不十分であったり,合意方法が不適切であったりすると,適切な額の養育費が請求できなかったり,養育費が未払いとなった際に養育費の回収が困難となったりするおそれが高まってしまいます。

裁判所の手続を利用しない場合であっても,少なくとも合意書を作成して形に残し,可能であれば強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておいた方が良いでしょう。

​​お子さんのためにも,できるだけ早く,正当な権利に基づいて,適切な養育費の取決めをすることが重要かと思いますので,お早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

​​ちょっとしたことでもご相談にのりますので,お気軽にご連絡ください。

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