スシロー迷惑行為・バイトテロの刑事・民事上の責任を大阪の弁護士が解説

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弁護士コラム Column

【スシロー迷惑行為・バイトテロ】刑事・民事上の責任を大阪の弁護士が解説

2023年03月02日
大阪心斎橋事務所  弁護士 鈴木 嘉津哉

はじめに

昨今、回転ずしチェーン店において、他人の注文した商品を勝手に食べる、醤油容器をなめる、商品にアルコールを噴射するなどという行為を動画に撮影し、その動画が拡散されたことによって社会的に大きな非難がなされるといったことがありました。   

​​また、これと似たようなものとして、店の従業員が商品や調理器具等を不適切に扱う様子などを動画に撮影し、それが投稿されるといったことも度々起きています。   

​​これらの行為について、刑事上・民事上の責任が問われることはないのか、問われるとしてどのような責任なのかといったことについて、元検事、大阪心斎橋事務所所長の鈴木嘉津哉弁護士が解説していきます。

バイトテロ等の迷惑行為は刑事上の何罪になるのか

動画に映っている人物達は、悪ふざけのような感覚で各迷惑行為を行っていると思われます。   
​​しかしながら、これらの「迷惑行為」は、単なる「迷惑」に留まらず、下記の刑法上の「犯罪」に該当する可能性があります。  

​・他人の注文した寿司を勝手に取って食べる行為   
​=窃盗罪(刑法235条)、偽計業務妨害罪(刑法233条)  

​・容器をなめる、商品にアルコールを噴射する   
​=器物損壊罪(刑法261条)、偽計(威力)業務妨害罪(刑法233条、234条)
​  
​・アルバイトが商品や器具等について不適切な取扱いをする   
​=器物損壊罪、偽計(威力)業務妨害罪

それぞれの犯罪が成立する理由

これらの迷惑行為の内容と成立する可能性のある犯罪名を見て、「何も壊していないのに器物損壊?」「誰かを騙しているわけでもないのに偽計?」と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。   

​​確かに、文字からのイメージだけでは、各行為がそれぞれの罪に該当するのかはっきりしませんし、条文上も「偽計を用いて・・業務を妨害した」「他人の物を損壊し、又は傷害した」としか規定されていません。   

​​しかしながら、これらの条文については、過去の判例等から、どのような行為に対してこれらの犯罪が適用できるのか下記のような解釈がなされています。

・器物損壊:物の効用を滅失する行為にも罪が適用される
​      (例)食器に尿をかける行為  
​・偽計業務妨害:相手を積極的にだますような行為に限らず、相手の不知又は錯誤を利用して業務を妨害する行為も含まれる         
​(例)店に無言電話を架け続ける

このように、過去の判例等からなされる解釈によって、問題となっている各迷惑行為にも刑法上の罪の適用の可能性が出てきます。

各迷惑行為を行った場合、逮捕されるの?

犯罪を行った疑いのある人がいるとき、すべてのケースで逮捕できるというわけではなく、逮捕をするには、「逮捕の必要性」が認められる場合に限られます。   

​​逮捕の必要性が認められるかどうかは、証拠隠滅の可能性があるか、逃亡の可能性があるかといった点が考慮されます。   
​したがって、逮捕されるか否かは、個別の事案によりけりということになります。   

​​昨今の問題動画に映っている人物の中には、未成年者も存在する可能性がありますが、未成年者の場合でも、証拠隠滅の可能性や逃亡の可能性があると判断された場合、逮捕されるといった可能性はあります。

各迷惑行為を行ったことについて起訴されてしまう可能性は?

ある事件について、犯罪行為そのものや、故意の有無を立証する証拠がなければ起訴されることはありませんが、仮に、犯罪を立証する証拠がある場合であっても、起訴猶予処分になることもあります。

​​ 今回のような場合、起訴猶予処分になるか否かは、被害額の多さ、被害弁償の有無、反省の態度の程度、前科前歴の有無、社会的影響の多寡など様々な事情が考慮されることになります。

​​ 事案の内容によって、起訴されるかどうかは様々ではありますが、一般的には、被害弁償を行い、被害者側が行為者を許しているといったような状況であれば、比較的、起訴猶予(不起訴)となる可能性は上がるといえます。

​​ なお、行為者が少年(20歳未満)であった場合には、事件は、全件家庭裁判所に送致され、家庭裁判所において、審判をするかどうかなどが決められるという流れになり、20歳以上の人の手続とは異なる流れになります。

民事上の責任はどうなる?

ここまでは、刑事上の責任(どのような罰を受けるか)について解説してきましたが、迷惑行為を行った人は、刑事上の責任のみではなく、民事上の責任を追及される可能性もあります。   

​​民事上の責任とは、要するに、迷惑行為によって生じた損害を賠償する(金銭で支払う)責任というものであり、刑事事件としては不起訴になったとしても、民事上の責任についてはまた別ということになります。   

​​民法上、故意又は過失によって他人の権利を不法に侵害した者は、その損害を賠償する、と定められていますが(民法709条)、各迷惑行為者は、この「不法行為責任」を負う可能性があります。

どこまでの「損害」を賠償する必要があるの?

民事上の不法行為責任を負うとしても、発生した損害としては、器具等の交換費用、清掃費用、迷惑行為を行った商品の交換費用、今後入るはずであった店の利益など様々なものが考えられます。   

​​中でも、「迷惑行為によって店の信用が下がり、将来得られるはずであった利益が得られなかった」として損害賠償を請求される場合、その額は巨額なものになってしまう可能性があります。   

​​この点については、必ずしも認められる損害というわけではなく、損害賠償請求をする側(店側)が、迷惑行為によって売上が下がったこと、すなわち、迷惑行為と発生した損害の間に因果関係があることを具体的に立証する必要があります。   

​​この因果関係の立証については、簡単なものではなく、迷惑行為に対して売り上げ減少分が必ず損害とみなされるわけではありませんが、具体的な立証がなされた場合には、それに応じた損害額の認定がなされる可能性があります。

最後に

これまで解説してきたとおり、昨今話題となっている迷惑行為は、刑事上・民事上共に大きなリスクがある行為であるといえます。   

​​したがって、もし、迷惑行為をしてしまった、逆に、店として従業員に迷惑行為をされてしまったという場合は、早めに刑事上・民事上の対応をする必要があります。   

​​その際に、お困りのことがあれば、お気軽に弊所大阪心斎橋事務所までお問合せください。
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