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弁護士コラム
Column

「傍論」雑感

2008年05月12日
弁護士 上野 精

「傍論」雑感
先日名古屋高裁で、「自衛隊のイラク派遣は憲法違反である」として、差し止め等を求めていた事件(一審名古屋地裁・請求棄却)の判決があった。マスコミによれば、判決の結論は控訴棄却であったが、理由中の判断で、控訴人等の自衛隊のイラク派遣は憲法(九条)違反との主張自体は認められたとのことである。
例によって、判決とりわけ控訴棄却の結論でありながら理由中で憲法違反の主張を認めた点を巡って、マスコミやそこでの有識者とされる人達による侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があった。
判決の結論や理由構成の当否は別として、その議論の中でこれはどうかなと思ったのは、「憲法違反の点は、傍論であり被控訴人(国)側としては上告して争うこともできない上、そもそも傍論で憲法違反の点を認定する必要があったのか」とする類の批判である。
傍論としての判示が、大きな意味を発揮した例としては、再審の窓口を広げたものとして高く評価されている最高裁の白鳥事件の例がある。傍論であれ、何であれ、当事者が裁判所の判断を望み、当該裁判所がその必要性を認めて当事者に主張立証を尽くさせたのであれば、裁判所の判断として審理の結果から導かれる結論を判決に示すことはむしろ当然のことではないのかとの思いを禁じ得ないが如何なものであろうか。

「租税特別措置法の裏に潜むもの」

2008年02月04日
弁護士 上野 精

「租税特別措置法の裏に潜むもの」
いよいよ第169回の国会が始まった。マスコミによれば、「ガソリン国会」とのことで、いささか旧聞に属するが、1月21日付の日経新聞でも、「ガソリン国会:与野党に聞く」とのタイトルのもと、自民党道路調査会長、民社党税制調査会長に対するインタビュー記事が登載されている。
目下の処、議長の斡旋ということで一応の政治決着を見ているが、法案審議の結末がどうなるのか判然としないままである。専門誌(週刊T&Amaster245号:新日本法規)によれば、問題の道路特定財源のみならず「3月末までに法案不成立なら、交際費も全額損金算入に」の見出しのもと、ニュース特集として、いわゆる「日切れ措置一覧」と共に税法関係を中心に問題点を整理している。
考えてみれば、昨年の参院選挙で与党が大敗し、世に言う「ねじれ国会」 が実現した時点から、当然予想できた事態であるにかかわらず、対処を怠った政府・与党の責任は重大である(もっとも、これを承知で敢えて今日まで待ったという皮肉な見方も出来ないではないが)。
それはともかく、毎国会ごとにといって良いくらい毎年のように、特定の政治目的(政策目的というべきか)実現に向けて租税特別措置が講ぜられ、これを踏まえて多くの法令・通達が出されていることは、弁護士・会計士・税理士等の職にあるものであれば予て承知のところであった。しかし、今回の騒ぎを見ていると、単に法案の結末を見るにとどまらず、その裏に潜むものを的確に分析した上で賛否を決めるべきものであるとの思いを深くした。

「じっと見つめていることのできないもの」

2007年10月10日
弁護士 上野 精

「じっと見つめていることのできないもの」
いささか旧聞に属するが、鳩山法務大臣が「死刑だけ署名なぜ必要」として「法務大臣が絡まなくとも、死刑執行が自動的に進むような方法はないのか」と発言したことを捉え、『「暴言」なのか、それとも問題提起か。』と9月30日付朝日新聞が報じ、また、10月1日付中日新聞は、『今日の「法の日」は、法律により社会を動かしていく「法の支配」の確立を目指し制定された。そのための重い責任を負っている法相の「署名なし死刑執行」などの思いつき発言は弊害が大きい。』との前提のもとに「法相の認識が足りない」との見地から、社説において批判的見解を述べている。
しかし、朝日の報ずるところによれば、8月末に就任(当時は安部内閣)してから、それまでの法務大臣の死刑執行命令の数を前提に、陰に陽に「あなたは何人」との質問を突きつけられ、「そんなことが話題になること自体おかしいのではないか」との疑問が生じ前記発言に至ったもののようである。
そうとすれば「死刑の執行は法務大臣の命令による。前項の命令は、判決確定の日から6か月以内にこれをしなければならない。但し、・・・」と規定する刑事訴訟法475条(訓示規定と解されている。)の問題点の指摘として理解できるものであるが、より根本的な問題は、いうまでもなく「死刑」の存置そのものであろう。
「死刑」については、存置論、廃止論の両者の対立は古く、実定的には、世界の主要国中廃止国約90箇国に対し、存置国約60箇国と伝えられている。また、「死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間死刑の執行の停止を求める(愛知県弁護士会会長声明ほか)」立場もある。
「死刑」についての考え方は、各国固有の歴史、文化、習慣、宗教等が複雑に絡み合うものであることは当然として、光市母子殺人事件に見るように、社会における犯罪状況、マスコミの報道姿勢、またこれを背景とする世論の動向などもあって、軽々に結論を見いだしがたいところである。
「じっと見つめることができないものがある。太陽と死と」といわれるが、鳩山発言を機に「死刑」の存廃について熟考すべき時期が来たように思われる。

「議決権行使助言会社」ってなあに?

2007年06月06日
弁護士 上野 精

「議決権行使助言会社」ってなあに?
新会社法が施行され1年が経過した。いわゆる経済のグローバル化を背景に外資系?ファンドによる企業買収の話題がマスコミを賑わしている。当地においても5月19日付中日新聞に、ブルドックソースを相手に株式公開買い付け(TOB)を仕掛けた米系投資ファンドのスティールに対し、ブルドックが「TOB反対表明へ」との見出しのもとに、「スティール投資先企業総会前に駆け込み・防衛策続々と導入」と題する特集?記事が組まれていた。
スティールといえば、これに先立ちマスコミを賑わしていた愛飲家なら知らぬもののないサッポロビールの経営母体サッポロHDとの買収攻防戦の記事を思い起こされた人も多いのではないだろうか。
マスコミの伝えるところによれば、両者の買収を巡る攻防戦の「天王山」と目すべきものは、3月29日に東京の恵比寿で開かれたサッポロHDの株主総会であり、ここで会社側が提案の新買収防衛策「第7号議案」が可決承認されたことで、サッポロは差し迫っていた買収の危機を乗り越えたとのことである。 ちなみに、ここでとられた買収防衛策は、上場会社の多くが採用しているいわゆる「事前警告型」に属するもので、物の本によれば「議決権の20%以上の株式取得を目指す買収者に対して、その目的や事業計画などの説明を求める。その上でその買収が株主全体の利益に反すると判断した場合には、新株予約権を発行して買収者の持ち株比率を引き下げ、買収を困難にする手法である。」とのことである。
とうぜんのことながら、サッポロHDの総会では、会社側提案と株主側提案を巡っての攻防戦すなわち「委任状」の争奪戦となる訳で、スティールは議決権のある全株主約3万5000人に対し、ウェブサイトに「新たな事前警告型買収防衛策導入反対のお願い」と題する書面を掲載し、議案に反対若しくは委任状の自社への送付を呼びかけたが功を奏さず、会社側提案が可決承認される結果となったわけである。ここまでは、よくある話であるが、ここで注目されるのは、この委任状争奪戦にアメリカの「議決権行使助言会社」3社が参入し、それぞれの立場から2社が会社側提案に「反対」1社が「賛成」の立場からいわゆる機関投資家に対し助言を行ったと伝えられる点である。
本年5月に三角合併が容認され、今後わが国の企業に対する買収を巡る紛争が多発するのではないかといわれる昨今、「議決権行使助言会社」が「モノ言う株主」らにとり「頼りとするに足りるアドバイザー」なのか否か、その活動の実態と合わせ注目して行くべきものと思われる。
なお、この問題に関心のある向きには、第一法規刊、「会社法務A2Z」創刊号28ないし31頁記載の記事の一読をお勧めする。
以上

「残業代ゼロ法案」から「産む機械」論まで

2007年02月21日
弁護士  上野 精

「残業代ゼロ法案」から「産む機械」論まで
このところ、某大臣の失言と謝罪がマスコミを賑わし、いささか食傷気味の感すらある。表題としたところはもはや旧聞に属する類のものであるが、そこに見え隠れするものは決して看過すべきものでないように思われる。
なぜなら、大臣の所管するのが「厚生労働省」であること、長時間労働、サービス残業、果ては過労死問題までが社会事象として論議を呼び、少子高齢化現象もまた、目下解決の糸口を探るべく、識者のみならず広く社会一般の人々の関心事であることによる。
もっとも「残業代ゼロ法案」(ホワイトカラー・エクゼンプション:アメリカで採用されている。管理職に近い給与を得ているホワイトカラー職に就いている人たちの労働時間と休業時間設定は、本人の意向で自由にすることができ、所謂8時間労働制の制約に服さない。)は、働き方の多様化に対応するものとして、鳴り物入りで宣伝されたが、企業における労働現場の実態を知らないものとして、肝心の労働者側の賛同を得られず、世論の反発もあってか法案提出に至らなかった。
もともと、この要望は経団連から発し、当初の給与額は年収400万円程度を目途にしていたと報じられている。これに先立ち経団連からの政治献金が再開されたことと合わせ考えると「国際競争力云々」を旗印にしているが、衣の下の鎧(よろい)を垣間見る思いを禁じ得ない。
「産む機械」論は、現に野党により「不信任決議案」の提出が予定されている。女性蔑視の最たるものとの感情的反発はもとより、女性のみならず男女を問わず世の識者の反発を買ったのもむべなるかなである。
もっとも、冷静に彼のいうところを聞けば、それなりに理解し得ない議論ではない。しかし、その表現の品のなさ、しかもその職が厚生労働大臣であることを考えると、反発を受けて当然ともいえ、またそれぐらいのことが読めないようでは、政治家としてのセンスを疑われても仕方がないところである。
この程度の見識と品性の人物を、「厚生労働」を所管する省庁のトップに据えざるを得ないところにも今日の政治の貧困をみることができる。