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弁護士コラム Column

押印した領収書の金額が違う時~二段の推定~

2022年04月07日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 浅野桂市

身に覚えのない領収書が勝手に発行されている、若しくはご自身が署名押印したものの記載されている金額が違うといった経験をしたことはあるでしょうか。 同居している家族や近親者などが勝手にあなたの印鑑を持ち出して捺印しているようなケースや、悪質な相手方が白紙の領収書に勝手に金額を 書き込むといったケースが想定されます。

​​一般的に、あなたの署名押印がある領収書を相手方が持っている場合、あなたがその領収書の記載通りに相手方から金銭の交付を受けたのだろうと判断されやすくなります。 では、なぜそのように考えられているのでしょうか。 それは、いわゆる「二段の推定」という法律の考え方があるためです。

二段の推定とは


​① 文書上の印影が本人の印章によって顕出されたものであるときは、反証の無い限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定するのが相当である(いわゆる一段目の推定。最判昭39.5.12民集18.5.597)。

これは、自己の印章は厳重に保管・管理し、理由もなく他人に使用させることはないという経験則に基づく事実上の推定です。これにより、『作成者の印章による押印』があるときは、『作成者の意思による押印』がなされたと推定されることになります。

② 民事訴訟法228条4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、申請に成立したものと推定する。」と規定されているところ、当該規定は、文書に本人の意思に基づく署名押印があることを前提とする規定です。

一段目の推定がなされた場合、民訴法228条4項により、『文書全体の成立の真正』が推定され(法定証拠法則)、領収書の記載どおりにあなたが相手方から金銭の交付を受けたことが推定されるわけです。

① の推定を覆すためには、「印鑑が盗まれたんだ。」あるいは「印鑑を勝手に使われたんだ。」といったことを証拠をもって立証する必要があります。

​​ ②の推定を覆すためには、「白紙の領収書で実際とは違うことを相手方が勝手に書き込んだんだ。」といったことを証拠をもって立証する必要があります。

これらの立証のためには、あなたと相手方の関係性、領収書作成時の具体的状況等を踏まえて、当該領収書の不自然性や通帳の記帳内容などを精査して主張を組み立てていく必要があります。

このように、あなたの署名押印がある領収書を相手方が持っている場合、あなたがその領収書の記載通りに相手方から金銭の交付を受けたのだろうと推定されてしまうことから、その推定を覆すことは一定のハードルがあります。とはいえ、弁護士に一度ご相談いただければ、一緒に突破口を探していけるかと思います。

領収書の悪用にお困りの際は弁護士にご相談ください


​先日、当職も、依頼者の署名押印がある領収書があるものの、当該領収書は白紙の領収書を悪用されたものであると主張した案件で、無事2段目の推定を覆すことができました。 一度弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

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