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弁護士コラム Column

いわゆる雇止めに関する事例判決 横浜地裁川崎支部令和3年3月30日判決

2022年05月20日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 勝又 敬介

昨今は有期の雇用形態が増加していますが、一方で有期の雇用を更新することで、労働者の側が長期にわたる更新に対する期待を抱いているケースは多数見られます。  

​​一方、企業側は長期の雇用契約による固定的な人件費の増加を嫌い、契約の更新を一定の期間までしか繰り返さない、などの対応を取ることがあります。特に昨今は、いわゆる5年を超えた場合の無期転換ルールにより上記の点が従来以上にシビアな問題となっています。

前記川崎支部判決は、1年間の有期契約の更新により4年間勤務した後で、契約が更新されなかったケースについて、労働者側が雇用継続の合理的期待があったことなどを主張して雇用契約上の地位確認を求めたケースです。

​この件では、当初の契約書から一貫して「更新する場合があり得る。(中略)。当社における最初の雇用契約開始日から通算して5年を超えて更新することはない。」という定めがあったという事情がありました。

裁判所は、上記のような条項が当初から明示されている場合には、通常は更新に対する合理的期待が形成される前であって、労働者が契約するか否かの自由意思が阻害されるような事情も無いとして、原則無期転換を認めない立場を取りました。

​​その上で、例外的に、不更新条項が約定通りに運用されていない実情がある、使用者から期間満了後も雇用を継続させる旨の言動がある等、合理的期待を抱かせる事情が無いことを認定して、不更新条項にしたがって雇止めも有効であると判示しました。

仮に契約更新時のどこかで不更新条項が付されたような場合には事情が異なる可能性がありますが、そうでなければ、前記のような特段の事情の有無により、労働者側に契約更新への合理的期待があったかが判断される、という裁判所の判断は概ね妥当では無いかと思われます。

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この記事の著者

勝又 敬介

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