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弁護士コラム Column

持続化給付金の不正受給は逮捕される?

2022年06月23日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 鈴木嘉津哉

1 はじめに


​最近、持続化給付金を不正受給したということで、逮捕・起訴されたというニュースが何件か報道されており、中には、数億円規模の巨額詐欺事件として立件されたというニュースもあります。

​​そこで、本稿では、持続化給付金を不正受給してしまった場合、どのようなときに逮捕・起訴されてしまうのかといったことについて触れていきたいと思います。

​​なお、持続化給付金の不正受給の仕組みや、なぜ持続化給付金の不正受給が横行してしまったのかという点については、こちらのブログをご覧ください。

2 持続化給付金の不正受給は何罪になるのか


​受給要件を有しないにもかかわらず、嘘の申請をして、持続化給付金を受給することは、詐欺罪(刑法246条)が成立します。申請をした名義人のほかにも、名義人を給付金申請に誘った仲介者、給付金申請の補助をした人も、場合によっては、詐欺罪の共犯として逮捕・起訴されてしまう可能性もあります。

詐欺罪の刑は、最長で懲役10年ですが、仲介者など複数の詐欺罪で起訴された場合、併合罪となり、最長で懲役15年の刑が科される可能性があります。

​​また、大人数を誘い、役割分担をするなどして、組織的に持続化給付金詐欺を行っているグループの主犯に対しては、場合によっては、組織犯罪処罰法に基づく「組織的な詐欺」として、1年以上20年以下の懲役(併合罪となれば、最長30年の懲役)が科される可能性があります。

3 不正受給をしてしまった人は逮捕される?


​犯罪を行った疑いのある人がいるとき、すべてのケースで逮捕できるというわけではなく、逮捕をするには、「逮捕の必要性」が認められる場合に限られます。逮捕の必要性が認められるかどうかは、証拠隠滅の可能性があるか、逃亡の可能性があるかといった点が考慮されます。

したがって、逮捕されるか否かは、個別の事案によりけりということになります。

​​しかし、類型的に見て、共犯事件や否認事件については、証拠隠滅の可能性が高いと判断されがちですし、前科がある人や住居が不安定な人については、逃亡の可能性が高いと判断されがちです。

この点、持続化給付金の不正受給については、多くのケースで、主犯、申請補助者、仲介者、申請名義人など複数の人が関与しており、事件としては「共犯事件」になることが多いと思います。

そうすると、持続化給付金詐欺事件については、類型的に見て、証拠隠滅の可能性が高い部類に属する事件といえ、何もせずに、警察の任意捜査に非協力的な態度を示すなどした場合には、逮捕されてしまう危険性があるといえます。

4 持続化給付金の不正受給で起訴されてしまう可能性は?


​仮に、逮捕されてしまったり、持続化給付金の不正受給に関して逮捕されなかったとしても、事件として立件され、いわゆる書類送検という形になった場合、起訴されてしまう可能性はどれくらいあるのでしょうか?

ある事件について、犯罪行為そのものや、故意の有無を立証する証拠がなければ起訴されることはありませんが、仮に、犯罪を立証する証拠がある場合であっても、起訴猶予処分になることもあります。

​​ 詐欺事件の場合、起訴猶予処分になるか否かは、被害額の多さ、被害弁償の有無、反省の態度の程度、前科前歴の有無など様々な事情が考慮されることになります。

​​
持続化給付金の不正受給の場合、1件の申請で被害額が100万円と高額なので、被害弁償ができなければ、と言わざるを得ません。

​​ また、仲介者として複数人を申請に誘ってしまった場合、共犯者として数百万円の詐欺を行ったとみなされる上、第三者を誘い、より被害を拡大させたなどと判断され、申請名義人よりも起訴されてしまう可能性は高いといえます。

5 起訴された場合の刑の重さは?


​仮に、持続化給付金の詐欺で起訴され、有罪となってしまった場合、その刑の重さはどれくらいになるのでしょうか?

​​刑の重さは、果たした役割、被害弁償の有無、前科の有無等によって決められるものであり、一概にはいえませんが、

​​例えば、申請名義人であり、被害額が100万円、前科がなく、弁償もある程度済んでいるなどといった場合は執行猶予付き判決となる可能性が高いと思われます(そもそも、そのような事案では、起訴されない可能性もあります)。

​​他方、仲介者で、4,5人程度の申請者を誘い、それぞれ申請が通って、被害額が500万円程度になる場合、被害弁償が一切なされていなければ、場合によっては、前科がなくとも実刑判決となってしまう可能性があります。

​​いずれにせよ、量刑については、個別の様々な情状を考慮して判断されることになります。

6 制度をよく理解せずに持続化給付金を申請した場合にも詐欺罪になる?

仲介者などから持続化給付金の話をされたものの、よく理解せずに申請をしてしまった場合や、そもそも、制度の説明すら無く、持続化給付金という名前すら知らなかったなどといった場合、詐欺罪は成立するのでしょうか?

犯罪が成立するには、故意(わざと行う意思)が必要であり、故意がなければ、犯罪は成立しません(ただし、交通事故などの過失犯は除きます。)。

​​もっとも、持続化給付金詐欺においては、その制度の内容をしっかりと理解しておくことまでは故意の内容として要求しておらず、「もしかしたら、本当は給付金をもらえないかもしれない」「申請の際の入力内容や確定申告の内容は事実と異なる」といった程度の認識でも、故意があると判断される可能性があります。

したがって、単に、「制度の内容をしっかり理解していたわけではない」「持続化給付金の細かな部分までは知らなかった」と言っても、罪を免れることはできないことになります。

​​もっとも、故意があるか無いかというのは、具体的なやり取りやその当時の状況などによって認定されるものであり、場合によっては、故意が無く、詐欺罪は成立しないと判断される可能性も十分にあります。

7 持続化給付金の自主返納はしたほうが良い?

仮に、持続化給付金を不正受給してしまった場合、捜査機関に捜査されているかどうかにかかわらず、専門窓口にて自主返納をすることができます。

​​不正受給をしてしまった場合、可能であれば、この自主返納はやっておくべきだといえます。これは、逮捕されるか否かという判断関わってきますし、仮に、起訴されてしまった場合には、量刑を判断するための情状として考慮されるからです。

8 最後に

持続化給付金の不正受給は、仲介者などから誘われて、あまり深く考えることなく申請をしてしまったという人も多くいると思います。

​​もし、そのような場合には、そのままにしておくと、逮捕・起訴などといった結果になってしまう可能性も否定できません。したがって、もし、不正受給をしてしまった、関与してしまったという方は、早めに対応をする必要があります。

​​その際に、お困りのことがあれば、お気軽に弊所弁護士までお問合せください。

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