離婚時の慰謝料と財産分与と隠し財産問題

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弁護士コラム Column

離婚において不貞慰謝料、財産分与が争われた事例 大阪高裁令和3年8月27日判決

2022年05月20日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 勝又 敬介

① 慰謝料の点について

​​夫婦間の離婚の際に、一方に不貞があると、通常他方には不貞配偶者に対する慰謝料請求権が発生します。

​大阪高裁令和3年8月27日判決は、不貞とは言えない、妻以外の女性Aとの親密な関係があった夫に対して、妻が当該女性と夫の親密な関係(不貞関係)にあるに違いないとして、これを疑ったとしてもやむを得ないものであったと認められるとして、その他の事情と合わせて400万円の慰謝料の支払いを認めたというケースです。

​​この事案では、夫側が平成12年頃に、1年間以上にわたって別のB女と不貞関係を続けたが、妻に不貞が発覚し、親族を交えた話し合いの場で土下座して謝罪し、妻が「今度浮気したら絶対離婚だからね」などといっていったんは宥恕したため、婚姻関係が継続されたという事情がありました。

​​ また、夫には不貞発覚以前から、いわゆるモラハラ的な態度が見られ、これが不貞発覚後も変わらなかったため、不仲な状態が継続していたようです。

​​その後、医者であった夫は、平成22年に研修医のA女に好意を持ち、婚約したAを祝う食事会を自宅で開き、食事会終了後Aを送ってくると言って自宅を出た後、人目に付かない非常階段でAと二人で正面から抱き合い、この現場を妻に目撃されました。

​​その後、長男の中学受験時期である平成24年に、夫は妻に対して離婚届を準備して離婚話を持ちかけ、妻も離婚を決意した、というのがあらましになります。

​​判例に照らすと、平成22年にAと抱き合った行為はそれ自体では不貞行為には当たらないでしょうし、他の機会に不貞行為をしたことの立証に成功しなければ、不貞を行ったとは認められません。

​​しかしながら、それ自体不貞行為に当たらない行為であっても、夫婦間の平穏を害するような行為があれば、夫婦関係を破綻させる行為であるとして不貞に準じて夫婦関係を破綻させた責任を問われる可能性があります。

​​本件の場合には、10年前に不貞をして、「今度浮気したら絶対離婚だからね」などと言われていたという事情があったほか、その後も夫婦関係が円満とは言えない状態が続いていたことで、前記のような判決に至ったといえると思われます。

② 財産分与について

​​財産分与は、特有財産のような例外を除けば、夫婦が婚姻後に築いた財産を2分の1ずつ分けるのが通常です。

​​ここで、婚姻後に築いた財産について、一方当事者から「相手方には隠し財産があるはずだ」といった主張がされることがよくありますが、多くの場合には隠し財産の立証には困難が伴い、隠し財産の存在を念頭に置いた分与を認めてもらうことにはかなりのハードルがあります。

財産分与で隠し財産が認められた例


​前記大阪高裁判決は、別居前4年間の妻のアルバイト勤務医としての収入約3386万円に対して、その二、三割程度の貯蓄を行うことが出来たものと認め、他の事情と合わせてこれを民法786条3項の「一切の事情」として考慮して、夫から妻への財産分与額を原審の5557万から、5100万円に変更しました。

裁判所の上記認定の理由としては、

  1. 全額が生活費などで費消されたとは考えがたい
  2. 妻から、毎年何にどの程度を負担していたか具体的説明がない
  3. 基準時における妻の預貯金額が300万円にも満たない
  4. 別居後の妻の支出が多くとも年間850万円程度で、別居以前は、別居後と異なり、家計支出の多くを夫が支払っていた
  5. 妻が、別居前に離婚を前提に口座から多額の出金を繰り返し、夫に把握されない別口座を作るなど不自然な行動を取っていた

等の多くの要素があったようです。

財産分与について、相手が財産を隠している可能性については、この判決が指摘したような事情の他、双方の通帳の取引履歴や生活状況等も踏まえての難しい判断となりますので、お悩みの際には、是非一度弁護士にご相談下さい。

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この記事の著者

勝又 敬介

弁護士

勝又 敬介(かつまた けいすけ)プロフィール詳細はこちら

名古屋丸の内本部事務所

所属弁護士会:愛知県弁護士会

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