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不貞慰謝料請求されたら?無視のリスクを弁護士が解説

2023年07月31日
刈谷事務所  弁護士 森田 侑実重

はじめに

突然、不貞の慰謝料請求が届いたら、どうしたら良いでしょうか。もしかしたら「無視してしまえば、このまま何もなく終わるのではないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。​しかし、不貞の慰謝料請求を無視することは、多くのリスクがあるため、決してお勧めできません。

​この記事では、慰謝料請求を無視した場合のリスクと、慰謝料請求が来た場合の対処法について解説していきます。

不貞の慰謝料請求を無視するリスク

不貞の慰謝料請求を無視した場合に発生するリスクとしては、主に次の3つがあります。

  1. 裁判となるリスク
  2. 示談交渉や裁判において慰謝料が増額するリスク
  3. 感情的対立が深まり、解決が困難になるリスク

以下、それぞれについて詳しく見ていきます。

裁判となるリスク

慰謝料請求が無視されると、示談交渉による解決が出来なくなるため、慰謝料を請求した側は、訴訟を起こして判決による解決を図ることになります。

​訴訟になった場合には、訴状が自宅に届きますが、この訴状についても無視してしまうと、相手の言い分を全面的に認めたことになり、敗訴判決がくだされます。     

​​そして、そのまま敗訴判決が確定すると、相手はあなたの財産を差し押さえることができるようになります。

差し押さえられる財産は、預金や家、土地等の場合もありますが、なかには給料の一部やあなたの家の中にある骨董品等の価値のある動産類が差し押さえられることもあります。

​​給料が差し押さえられる場合は、職場に「債権差押命令」という通知が届きますので、あなたが訴訟を起こされたことが職場にばれるというリスクがあります。

​​また、あなたの家の動産類を差し押さえる際は、執行官があなたの家まで来ることになるので、自宅の周囲に住む人々に不審な目で見られてしまうリスクがあります。

示談交渉や裁判において慰謝料が増額するリスク

​不貞の慰謝料を増減させる要素は後記のとおりいくつかありますが、そのうちの1つに謝罪の有無が含まれます。

​​不貞の事実が明るみになった後、それを認めようとしなかったり、謝罪をしなかったりすることは、不貞された側により多大な精神的苦痛を与えることになるからです。

謝罪の有無について触れている裁判例は数多くありますが、例えば、証拠が出てくるまで自らの不貞の事実を否認する態度に出ていたことを理由に慰謝料を増額させたもの(東京地裁平成22年3月25日)や、謝罪が行われなかったことを理由に慰謝料を増額させたもの(東京地裁平成25年8月20日等)、逆に謝罪を行ったことを理由に慰謝料を減額させたもの(東京地裁平成29年1月27日等)があります。

感情的対立が深まり、解決が困難になるリスク

不貞の慰謝料請求をする側は、弁護士等に依頼をして請求をしてくる時点で、すでに大きな怒りを抱えていることがほとんどです。そのような状況で、請求を無視されれば、さらなる怒りを覚えることは想像に難くないでしょう。     

​​そうなると、慰謝料を請求する側は、交渉により互いに落としどころを探るのではなく、費用や労力をかけてでも、徹底的に争おうという気持ちになることが往々にしてあります。

​​具体的には、後から示談交渉を進めようとしても応じてくれずに裁判になったり、裁判になってからも和解に応じてくれず解決に何年もかかったりするリスクとなります。

これらの他にも、不貞の慰謝料請求を無視することによるリスクは様々なものがありますので、慰謝料請求が届いた際には、決して無視することなく、適切に対応することをお勧めします。

慰謝料請求された場合にやるべきこと

では、不貞の慰謝料請求が来たら、どうしたら良いでしょうか。 慰謝料請求は、慰謝料を請求する側の視点から書かれたものですから、中にはその記載内容が事実と異なっている場合も多くあります。

​​ そのため、まずはその記載内容と請求された金額を確認することから始めることが重要となります。以下に着目点の主な一部を紹介します。

不貞の事実があったのか。

そもそも不貞の事実がなければ、慰謝料請求はできません。どのような行為が「不貞」にあたるのかについては、弊所の他のコラム等でも説明されていますので、あわせてご覧ください。 

​​また、不貞の慰謝料の金額は、不貞行為の回数や不貞行為をしていた期間によっても変わってきますので、この点についてどのように記載されているのかはしっかりと確認することが必要です。

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相手が既婚者であると知ったうえで不貞に及んだか。

仮に、不貞行為が事実であったとしても、相手が既婚者であることを知らなかった人に対しては、慰謝料請求ができません。    
​相手が既婚者であることを知らなかった場合は、どこで出会ったのかや、独身であると嘘をつかれた状況等を振り返り、相手が既婚者であると気付かなかったことに過失がなかったといえるかを確認することが必要です。

現在、相手の家庭がどのような状況にあるのか。

不貞の結果、相手の家庭が離婚や別居に至ると、不貞行為により平穏な婚姻生活が壊されたものであるとして、慰謝料が増額される要素となります。

その他

慰謝料請求自体に記載されていないものであっても、慰謝料を増減させる要素は多くあります。

​​ 例えば、相手の婚姻期間がどれくらい長いものであったかや、相手夫婦の間に子供がいるか、どちらが言い寄って不貞行為が始まったのか、不貞行為があった時点において相手の家庭がすでに破綻している状態であったか(不貞の慰謝料は「婚姻共同生活の平和の維持」という権利が害されることから認められるものであるので、すでに家庭として破綻している場合には請求することができません(最高裁平成8年3月26日)、等があげられます。    

​​慰謝料請求に記載された金額が妥当なものなのかを判断するためには、これらのことを確認することが必要となります。

弁護士に相談するメリット

不貞の慰謝料を請求された場合、不当に高額な請求である場合や、そもそも支払わなくても良い場合もありますので、無視することなく適切に対応することが重要です。

​​弁護士に依頼した場合は、これらの要素について細やかなアドバイスを受けることができるほか、相手方との交渉や訴訟対応を任せることができます。

不貞の慰謝料請求が届いた場合は、無視することなく、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

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