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弁護士コラム Column

深夜の残業代手当・割増の計算方法 名古屋の弁護士執筆

2022年12月13日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 岩田 雅男

深夜手当とは

残業代とは、労働が、時間外に及んだ場合に割増して支払われる賃金のことです。 通常、残業代と聞くと、1日の残業時間が長時間にわたった場合や、1週間の残業時間が長時間にわたった場合を想像されるかもしれません。

しかし、労働基準法は、労働が深夜に及んだ場合にも割増した賃金の支払を命じています。 この場合の深夜とは、午後10時から午前5時までを指します。

​​ これまで私が相談を受けたり、ご依頼をいただいたりしたケースでは、飲食店、運送業などで、深夜まで働かされていたにもかかわらず、一切深夜手当が支払われていないというケースがありました。 これらの業種の方々は、特にご自身にきちんと深夜手当も含めて支払がなされているか調べていただくことをおすすめいたします。

深夜の労働には25%以上の割増賃金が加算

深夜の労働は、労働者の健康を害することがあることから、その労働の負担は大きいです。 そこで、労働基準法は、負担の大きさを考慮して、使用者に割増された賃金を支払うことを命じています。

​​ そして、その割増率は、25%以上とされています。

​​例えば、時給1000円と定められているのであれば、深夜の労働については、25%を加算して、労働者は、1250円の賃金の支払を受けることができます。

8時間以上かつ深夜の労働には二重で加算される

また、1日8時間以上の労働があったり、1週間に40時間以上の労働があったりした場合には、通常の時間外手当も支払われます。 通常の時間外労働と深夜の労働が重なった場合には、二重に割増された賃金が支払われます。

​​時間外労働の割増率は、25%ですから、深夜の割増率である25%を加算して、合計50%が加算されることになります。

自分に深夜手当が支払われているか確認するためには? 

自分に深夜手当が支払われているかどうかを確認するためには、給与明細、就業規則、労働契約書(労働条件通知書)などを見る必要があります。 特に給与明細は、給与の計算根拠が示されることになりますので、深夜の労働時間がそもそも、把握されているのか、記載されているのかをご確認ください。

残業代請求を弁護士に頼む事のメリット

弁護士にご依頼いただくメリットとして以下の3点を挙げておきます。

①証拠・資料の収集ができる

弁護士にご相談をいただければ、適切な証拠や資料の収集ができます。

​​ 例えば、就業規則に関しては、本来、法律上、労働者に周知をしなければならないことになっていますが、労働者に対して公開をしておらず、開示を求めても、開示がなされないというケースも多々見受けられます。

​​ そのような場合にあっても、法的な根拠を示しつつ就業規則の開示を求めることで、適切な証拠の収集をすることができます。

​​また、労働時間の算定にあたっては、どの時間働いていたのかを証拠に基づいて主張をする必要があります。​​特に、労働時間が管理されていない会社も多くあります。 在職中に早くに相談をいただいた場合には、どのように証拠化すれば最適なのかをアドバイスすることができます。

②残業代の算定を行うことができる

残業代の算定にあたっては、どの賃金をベースに割増をするのか等難しい計算が多いです。 弁護士にご依頼いただければ、このような計算も弁護士の方で算定をさせていただきます。

③法律を踏まえた交渉ができる

このこと自体は大変嘆かわしいことですが、使用者は、法律に則らずに使用者の立場を利用し、無理な主張で言いくるめようとしてくることも多くあります。

​​このような場合であっても、弁護士にご依頼いただければ、法律に則って毅然とした対応をさせていただきます。 話が通じないと思っている相手である場合こそ、ぜひご相談ください。

弁護士への無料相談は愛知総合法律事務所まで

深夜手当についてのまとめ

深夜手当は、それ自体、使用者がきちんと支払う義務がありますし、深夜の労働は、健康を害する危険をはらんでいます。 深夜手当が支払われていないということは、使用者が深夜の労働時間を把握していない、つまり労働者の健康状態をきちんと把握していないことにつながります。

​​深夜手当は、賃金だけの問題ではなく、皆さんの健康状態にかかわる問題につながりかねませんので、重要な賃金であるということをこの機会にご理解いただけると幸いです。

残業代請求をご相談いただく際にお持ちいただきたいもの 

せっかくお時間をとってお越しいただいても、これらの資料がないと、結局「詳しいことは資料を見ないと分からない」とお答えせざるを得ない場合がございます。

​​そうならないためにも以下をご参考にしてください。

1 労働条件通知書、雇用契約書等、雇用契約の内容が分かるもの 

残業代が発生するかどうかを判断するためには、まずは、雇用契約の中で労働時間がどのように定められているかを確認する必要があります。 契約の内容を知るためには、これらの書面が最も参考になりますので、これらの書面をご持参いただく必要がございます。

​​ これらの文書は、法律上、書面等を作成して労働者に渡さなければならないと定められておりますので 、通常は、お手元にあるかと思います。

​​なお、一方では、これらの法律が守られず、そもそも条件通知書や契約書が作成されていないというケースも多く見受けられます。その場合には、その他の資料を参考にしながら、見通しをお伝えすることもできますので、お気軽にご相談ください。

2 お手元の全ての給与明細

給与明細には、その月の労働時間が記載されていることも多く、どのように計算して賃金を算定しているのかが分かる情報が記載されています。

​​そこで、残業代が発生しているのか、どの程度発生しているのかを算定するために、給与明細をお持ちいただきたいです。 より詳細に算定するため、手元にある全ての給与明細をお持ちください。

3 就業規則 

就業規則には、雇用契約書などよりも詳細に労働時間や諸手当の内容が定められている場合があります。 詳細に算定するために、もし入手が可能であればお持ちいただくと非常に参考になります。

​​なお、法律上、就業規則は、労働者がいつでも見ることができる状態にしておかなければなりません。しかし、実際には、就業規則は見ることができない状態になっている場合も多く見受けられます。

​​その場合には、相手方に就業規則を開示させるところから、ご依頼いただく場合もございますので、その場合でもお気軽にご相談ください。

4 タイムカード等労働時間が分かる資料 

タイムカード等の労働時間が分かる資料があると、実際に残業をしているのかということが分かります。 また、タイムカード以外にも、労働時間が分かる資料はございます。 詳細は、こちらをご参照ください。

5 印鑑(シャチハタ等インク式のものは不可) 

弊所へのご依頼を検討されている場合には、委任契約書や印鑑などにご署名、ご捺印をいただく必要がございます。印鑑をご用意ください。 

以上は、あくまで、これがあれば、見通しを立てるのに参考になるという資料を述べたものです。 これがなければ絶対に請求できないという資料ではございませんので、もしこれらの一部の資料がなかった場合でもお気軽にご相談いただければと思います。

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