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弁護士コラム Column

「親権は母親が有利」は本当?離婚時の親権者争いのポイントについて弁護士が解説

2023年03月07日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 黒田 雅明

はじめに

「親権は母親が有利」とよく聞きますが、実際には離婚裁判で父親が親権者とされることもあります。 離婚裁判等になったときに自分が親権者として選ばれるかどうかわからず不安な方は多くいるかと思います。

​​当コラムでは離婚事件で親権者争いになった場合において裁判所が重視している点を説明します。

親権者を決定するにあたって裁判所が重視するポイント

家庭裁判所は親権者を決定するにあたり次のような考え方をしているとされています。

①「主たる監護者」が誰であるかを判断し、主たる監護者の監護の状況や監護の継続性などを考慮し、「特段の問題」がなければ「主たる監護者」を親権者とする。

​ ②子が一定程度の年齢に達している場合には、子の意思を重視・尊重しつつ、子が希望する親の監護の体制を検討する。

「主たる監護者」とは、その子の子育てを中心に行ってきた人であると理解していただければと思います。

​​「主たる監護者」であるかどうかは、育休等を取得して子供の養育に専念したか、病気になったときの看病をしてきたか、保育園幼稚園への対応をしてきたかなどといった監護の具体的な実績から判断されることになります。

​​①で示した考え方のように、基本的には「主たる監護者」の監護体制が適切であるかを判断することになるので、「主たる監護者」であるかどうかが親権者争いにおいてとても重要であることがわかっていただけるかと思います。

​​なお、主たる監護者ではない方の親が離婚裁判の場などにおいて「自分の方が経済的に有利であること」「自分の方が優れた監護体制を整えることができること」を主張することがあります。

​​しかし、これらの主張は、上記の裁判官が重視しているポイント(「主たる監護者が誰か」「主たる監護者の監護体制に問題はないか」)とあまり関係のある事情ではありません。

​​そして、「経済的に優位であること」については、養育費や公的支援で一定の生活が維持できることから重要ではないと考えられています。また、「自分の方が優れた監護体制を整えることができる」という主張についても、主たる監護者ではない親が予定する監護体制については、実際にそのような監護体制で監護が行うことができるという主張には説得力がないと判断されることが多いです。

「主たる監護者」であっても親権者にふさわしくないとされる「特段の問題」とは虐待を行っていたり、主たる監護者に精神疾患があり、監護に堪えられないと判断される場合などです。

​​実際に「特段の問題」が認められることは少なく、この点からも「主たる監護者」であることの重要性が認められます。

②について説明いたします。子の年齢が一定程度(おおむね10歳程度がひとつの目安です)に達している場合には、子の意思を尊重して決せられます。

​​子の意思は家庭裁判所調査官による子の意向の調査(言葉だけでなく表情や態度、発達段階等様々な事情を踏まえて分析されます)により行われます。

なお、親権者争いの事案では、一方の親が子の意思を無理に聞こうとしたり、「自分と暮らしたいというように」と働きかけをすることがたまにあります。

​​専門家が知識と経験をもとに調査を行うのですからそのような働きかけに意味はありませんし、子の負担になってしまうことから控えるべきであることは明らかです。

父親が親権者に選ばれるのはどのような場合か

先ほどご紹介したポイントにあてはめて考えると、父親が親権者に選ばれるのは、 ①主たる監護者が父親である場合 ②主たる監護者は母だが、監護体制について「特段の問題」がある場合 ③一定の年齢以上の子どもが父親と一緒に暮らすことを希望しており、父親の監護体制が整っている場合 に父親が親権者に選ばれることになります。

実際のところ、今の日本では男性の育休取得率が少なく、必然的に母親が育児の中心を担っていくことが多いことから父親が主たる監護者であると判断されることは少ないです。

​​「親権争いは(理由がなく)母親が有利」なのではなく、「母親が主たる監護者であることが多い=結果的に母親が親権者に選ばれることが多い」といえます。

とはいえ、最近は男性の育休取得率や取得期間が増えていたり、夫婦共働き家庭が増えていたり、様々な家族の在り方・社会の変化があります。

​​「母親だから大丈夫」、「父親だから親権は諦めなければならない」ではなく、実際の子育ての事情に応じた丁寧な検討・主張が必要です。

親権者争いが起きている事案で弁護士に依頼するメリット

これまで述べてきたように、親権が認められるかは「主たる監護者」にあたるかという点が重要になってきます。

​​そして、自身が主たる監護者であると裁判所にわかってもらうためには、監護の実績などを書面や証拠として提出する必要があります。普段こうした紛争に馴染みのない方々にはどのような資料や事実をどのように裁判所に出せばいいのかという点がわからないと思います。

弁護士は、親権者争いに関する法的知識のプロであるだけではなく、必要な情報をどのような形で書面・証拠にまとめて裁判所に提供するかという点についてもプロです。 親権で争いになった場合には弁護士にご依頼いただくことを強くおすすめします。

最後に

大事な子どもの親権を獲得できるのかどうかは、離婚にあたって一番の関心事であると言っても過言ではないと思います。 当事務所は、初回相談を無料としておりますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

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