遺産に含まれる財産とは?

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弁護士コラム Column

父の自宅から現金が!この財産は遺産なの? ~遺産確認の訴え~

2022年06月21日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 勝又 敬介

人が亡くなって、相続が開始すると、相続人の間で亡くなった方(被相続人といいます)の残した遺産を分けることになります。 このとき、一部の財産が、被相続人が残した遺産なのか、あるいは他の誰かの財産であって遺産では無く、相続の対象外なのかで見解が分かれ揉めることがあります。

遺産に含まれる財産・含まれない財産


例えば、一人暮らしをされていた方が亡くなり、子供らが自宅に行ったところ、自宅から多額の現金が発見されたような場合、通常は「父の自宅にあったから父のものだろう」と親族の考えが一致することが多いでしょうが、場合によっては誰かが「自分が父に預けていたお金だ」と言い出すかも知れません。

あるいは、被相続人の自宅から被相続人の妻や子どもの名義の預金通帳が発見されて、この預金が名義人のものなのか、通帳を管理していた被相続人のものかが争われるようなこともあるかも知れません。

このように、発見された財産が遺産に含まれるのか、それとも被相続人以外の誰かの固有の財産なのかでもめてしまった場合、何らかの形で遺産に属するかどうかを決める必要があるわけですが、このためにはどういう方法があるでしょうか。

遺産分割の流れ


​まず、遺産に属するかどうかを決める方法としては、相続人同士で「遺産分割の協議」、すなわち話し合いを行うことが考えられます。もっとも、当事者間に利害の対立などがある場合には、協議がまとまらない可能性もあります。
協議による解決が困難な場合には、後述する家庭裁判所での調停、地方裁判所での訴訟、等の手段が考えられます。 これらの中から、いつの時点でどの手続を取るかは、事案に応じて検討していくことになります。

遺産分割調停について


​当事者間での話し合いで決着が付かなかった場合の解決策として、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることが考えられます。

遺産分割調停は、裁判所において調停委員らが間に入って話し合いを取り持ってくれること等から、双方が歩み寄って妥協に至るケースも多いのですが、折り合いが付かなければ、「ある財産が遺産に属するのか」についての最終的な結論を出すことは出来ません。

​​このため、遺産に属するかどうか分からない財産について話し合いが着かなければ、一旦調停を取り下げるなどして、その財産が遺産であることを後述の遺産確認の訴えで確定してから、再度調停を起こすなどの手間や費用が必要になります。

そのため、対立が深刻で調停での解決の見込みが立たないことが明らかな場合等は、調停を起こさずに、最初から遺産確認の訴えを起こすことも検討するべきです。

上記のように、遺産の範囲についての争いが協議や調停で解決できない場合や、最初からこれらでの解決が見込めない場合には、地方裁判所で「遺産確認の訴え」という裁判を起こす必要があります。

遺産確認の訴え


​遺産確認の訴えは、本質が話し合いである調停と違って、裁判官の判断で白黒を付けることになるので、証拠に基づく裁判所の判断で最終的な結論を出すことが可能です。また、この裁判は、固有必要的共同訴訟といって、相続人全員を当事者として扱う必要があります。

一般論としては、被相続人の管理していた財産の帰属に争いがあるような場合であれば、

  • その財産の原資(誰が、いつ、どこから出した財産か)
  • 被相続人の管理下に移った経緯
  • 当該財産を現実に誰が管理・運用してきたか

等の事情が遺産帰属性を判断するための要素とされます。

これに対して、現金の遺産帰属性が争われた場合ですが、ここでは現金の特殊な扱いについて注意する必要があります。

遺産相続における現金の扱いについて


​現金は、高度な代替性と流動性があることから、判例上現金を占有している者が現金の所有者である、とする「占有と所有の一致」が認められているという特殊性があります。

​​そのため、冒頭のように被相続人の自宅から現金が発見されても、そのお金は原則的に占有していた被相続人の資産であると扱われるため、通常は相続財産であることが認められることになります。

一方で、仮に被相続人にお金を預けた人がいれば、その人は被相続人に対して、「預けたお金を返して欲しい」という権利があるでしょうが、これは通常は、「預けたお札一枚一枚を特定して、まさに預けたお札を物理的に返したもらう権利」ではなく、「同額のお金を支払ってもらう権利」であるとされるでしょう。

したがって、相続人の一人が、「これは自分が相続人に生前に預けていたお金だ」と主張したとしても、通常は「自分は被相続人に対してお金を預けていたので、同額の返金を受ける権利がある」という、預託金返還請求等の存在を立証できるかの問題になり、被相続人が占有していた現金は遺産であると認められやすいといえます。

実際に当職が担当した案件でも、名古屋家庭裁判所で一旦調停が行われたものの妥結できず、名古屋地方裁判所で現金の遺産帰属性が争われる事案がありました。その案件では、最終的に現金における所有と占有の一致などを踏まえて、当方の主張どおり現金を被相続人の遺産と認める判決が下されています。

また、これまでの話とは少し場面が違いますが、被相続人が管理していた財産が遺産に属するかどうかは、遺産全体の総額を変化させる事情となります。

​​ このため、相続税の処理にも影響してくる問題になりますから、税理士とも協議して税務的な観点も踏まえて処理を進める必要があります。

以上述べてきたように、財産の遺産該当性について紛争がある場合には、これを確定するための手続の選択や、その場合の調停・裁判の見通し、更には遺産分割全体の手続との関係、手続に要する時間と費用、相続税との関係性など、様々な事情を考慮して判断する必要があります。

弊所には、弁護士に加えて、税理士、司法書士等多数の士業が所属しており、相続税申告を含めた相続に関する問題をワンストップでご相談頂くことも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の著者

勝又 敬介

弁護士

勝又 敬介(かつまた けいすけ)プロフィール詳細はこちら

名古屋丸の内本部事務所

所属弁護士会:愛知県弁護士会

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