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弁護士コラム Column

遺言書があとから出てきたらどうなる?相続トラブルについて弁護士が解説

2023年08月29日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 藤村 衛

はじめに

ご家族や親戚が亡くなり遺産分割や相続手続きがひと通り終わった後に,数日後あるいは数か月後や数年後に亡くなった方の遺言書が発見されることがあります。

​​このような場合,すでに終了している遺産分割協議に影響を及ぼすことがあります。どのような場合に影響を及ぼすか,また,どう対応すればいいかを具体的なケースごとにご紹介していきます。

遺言書の効力はいつまで有効なのか

遺言書が後から発見されたケースを検討していく前に,前提として遺言書の効力はいつまで有効なのか説明させていただきます。

​​遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つの種類がありますが,結論として,いずれの種類でも遺言書の効力に期限はありません。

​​遺言書自体としての要件を満たしていない場合や,新しい遺言書の存在により古い遺言書が無効になる等の例外はあります。

​​しかし,原則として有効な遺言書が一度作成されれば,遺言者が亡くなった後に何年経過しても遺言書の効力は無効になりません。

​​そのため,ご家族が亡くなった後に何十年経ってから遺言書が見つかった場合でも,遺言書の内容によっては遺産分割をやり直す必要が出てくる可能性が生じます。

相続人が遺言書を隠匿していた事が判明した場合

亡くなってすぐに遺言書が発見されたケースや遺産分割をする前に遺言書が発見されたケースでは問題になることはほぼありません。

​​後から遺言者が見つかって問題が生じる多くのケースは,相続人同士で遺産分割協議を行った後に亡くなった方の遺言書が発見されたケースになります。

もし遺産分割協議を行った後に遺言書が見つかった場合には,原則として遺言書の内容通りの遺産分割が優先されます。

​​相続人同士で決めた遺産分割協議でも,遺言書が見つかった場合には遺言書の内容が優先され遺産分割をやり直す可能性が出てきます。

遺言書が後から見つかった場合でも,例外的に,相続人全員が遺言書の内容通りに遺産分割をやり直さないことに同意した場合には,遺産分割をやり直す必要はありません。

​​しかし,遺言書の内容は相続人同士で決めた遺産分割協議の内容と異なることが多く,個々人の損得勘定から現実的にそのような同意が全員から得られるケースは多くありません。

遺産分割協議後に遺言者が発見された場合,相続人にあたる方は,まず遺言書の内容を把握して,自分はどのような財産をどのように譲り受けるのか理解する必要があります。

​​その上で,遺言書の内容通りの分割を進めるのか,それとも遺産分割協議通りの分割を目指して他の相続人の同意を得ていくのか考える必要があります。

また,遺言書が発見された経緯についても注意を向けなくてはいけません。

相続人にあたる者が,不当な利益を得る目的で遺言者を隠匿していた場合には,相続欠落事由と判断され,その者は相続人ではなくなるケースがあります。

​​単に遺言書を隠匿していた場合だけではなく,不当な利益を得る目的があったことが必要であり,不当な利益を得る目的があったかは個々の事情ごとに検討されます。

後から遺言書が発見され,かつ相続欠落事由が認められた相続人がいる場合には,その相続人以外の相続人で遺産分割をやり直すのか検討することになります。

​​そのため,遺産分割をやり直すか検討する前提として,遺言書が発見された状況や遺言書の内容次第によっては,相続欠落事由のある相続人がいないかを調査する必要も出てきます。

相続後に見つかった場合

一方で実際に遺産分割から何十年も経過した後に遺言書が見つかった場合には,遺言書の内容通りに分割する財産が残っていないこともあります。

​​不動産の価値が下がっていたり,現金の使い込みにより相続財産が残っておらず,発見された遺言書の内容によっては自分が損をしてしまう可能性もあります。

​​このような場合には,残っている財産だけでも遺産分割をやり直すのか,代替的な解決方法を探していくのか検討しなくてはいけません。

弁護士に相談を

ここまでご紹介させていただいた通り,遺産分割後に遺言書が発見された場合,遺産分割をやり直すべきなのか,遺言書の内容をどのように理解すればいいのか等,考えなければいけないことが多岐にわたって生じます。

​​弁護士にご相談いただければ,相談者の立場になってこれからの方針を一緒に考えていくことができます。悩んだ際にはぜひ一度ご相談ください。

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